Starry☆Sky 文

□雪の日の特権
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『うぅ…寒いですね』

「そうだな〜。でもまぁ、冬は嫌いじゃないぜ、俺」

『あ、私もです。雪景色とかすごく幻想的だなって思います』

「お前はロマンチストだな〜。…おっ、言ってるそばから降って来たぞ」

生徒会活動を終え、寮まで送ってやるという会長のお言葉に甘えた。
見上げると、しんしんと雪が降って来る。

『凄い綺麗ですね…。…へ、へっくしょん!』

「おいおい、大丈夫か?お前、コートもマフラーもないのか?」

『朝、急いでて忘れてきちゃって…』

「ははは、お前はおっちょこちょいだからな〜」

『そ、そんなことないです!…え?』

言い張る私に、会長は自分のマフラーを巻いてくれた。
…会長の匂いがする。暖かい。

「明日返せよ〜?でもおっちょこちょいなお前のことだからまた忘れそうだな…」

『もう、またからかって…。…でも』

「ん?」

『ありがとうございます…』

自分でも顔が紅いのは分かってる。
でも、どうかこれは寒いからであると思われたい。

「どーいたしまして。っと、段々暗くなってきたな…。よし、早めに帰るか」

『は、はい…』

早く帰るべきとは分かっていながらも、どこかまだ帰りたくない自分がいた。
私は会長の後ろをゆっくりと歩いた。

「ん?どーした?早く行かないと真っ暗になるぞ。ただでさえ学園唯一のお姫様なんだから…」

『会長がいるから大丈夫です…』

「…ったくお前は…。…可愛いこと言うな!こら!」

『ひゃっ!!』

会長の冷たい手が私の頬に押しあたる。
不思議と頬は冷たいのに、なんだろう。
暖かい気がする。

『うぅ、冷たい…!!』

「はははっ、お前が可愛いこと言ったからお・し・お・き」

吐息のかかる距離で会長は笑った。
私の顔はまた、紅みを増していないか不安でしょうがない。
目を必死でそらしている私に会長は気づいたのか…。

「お前、頭に雪積もってるぞ〜。…ほら、睫毛にも?」

パッと雪を振り払ってくれる会長はさらに至近距離で。
顔が紅いのはもうどうでもいい。むしろ、このドキドキが伝わらないかの方が不安だ。

『か、会長だって積もってますよ!』

背伸びして会長の頭の雪を振り払う。
背が高いから背伸びしても届きにくい。

「ははは、可愛いなお前」

くしゃ、と頭を撫でられる。
からかわれてるのに不思議と嫌じゃない自分にちょっとくやしい。
すると会長の冷たい手が私の手をとった。

「じゃ、いい加減帰るぞ〜?ほら、寒いから手つなぐか」

もしかしてさっき私が帰りたくないと気づいたから、まだ一緒に居てくれたのだろうか。

冷たい手と手が絡み合う。
冷たいけど、暖かみが増す。

この暖かさが寮に着いて、なくなるのだと思うと寂しい。このまま、まだ、握っていたい。できればずっと。

『会長っ』

「ん?」

『また明日も…一緒に、その、…』

「分かってるよ。お姫様はしっかりお守りしないとな。……他の野郎には任せられねぇかんな」

『え?今なんて…?』

「なんでも。ほら着いたぞ、お姫様。明日も生徒会、がんばろーな」

つないだ手が離された。
けど、また明日、明後日とこうして帰れるのかなと思うと。

『はい!…また明日っ』


暖かさでいっぱいになる。








(会長のマフラー、暖かいな)

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企画サイト様への提出した小説です!
もうすぐwinter発売…!
楽しみすぎる!ぬいぬい萌え(^p^)
2009/12/16


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