銀魂短編

□散歩
1ページ/2ページ



「ちょっと散歩してくるっ!」


朝7時、私は家を飛び出した。


あー、眠い!

低血圧な私は、朝が大の苦手だ。

にもかかわらず、何故散歩などに行くかと言うと。


"沖田総悟"さん。

この人に会うためだ。


蜂蜜色の髪の毛で、真選組1番隊隊長をやっている、すっごくかっこいい人。

すれ違った時に一目惚れしてしまったという、私の不毛な片思いの相手。

そして、遠くから見てるだけで今日1日頑張ろうという気になれる、元気の素。


私は沖田さんとさりげなくすれ違い、顔がニヤニヤしないよう早々に家に帰ろうとした、その時。


「おーい、そこの人ー、そこに落ちてあるミントンのシャトル拾ってくれやせんか」


…ん?そこの人?私じゃないよね?


「なにボケっとして突っ立ってるんでィ。アンタだアンタ」

「え、私ですか!?」

「他に誰が居るんでィ」


沖田さんは傍にきて、じっと私を見た。


(え、これどうしたらいいの)(いや、嬉しいけども!)


「ああああの、これ、ミントンのシャトルです」

「ああ、どうもでィ」


…………。

会話がない!沈黙が重い!


「アンタは、」

「はい?」


「アンタはいつもこんな朝早くから何してるんでさァ」

「え、散歩…ですけど」


正しくはあなたを見るために散歩しに来てます。


「ふーん…」


え、なんか変だったかな!?


「あ、あと!そっ、空を見に来てます!」

「空?」

「ほら、きれいじゃないですか」


見上げればきれいな青空。

自分で言ったにもかかわらず、私はしばらく見とれていた。


「…あんたの方がきれいだと思いますがねィ…」


そう彼が言ったのも、気付かないくらい。


「…それじゃ、私はこれくらいで」


私は彼に背を向けて歩き出す。

話せるなんて、今日は一段といい日になりそうだなんて思いながら。



「俺は沖田総悟!アンタの名前は!?」


そう後ろから声が聞こえるのは、これから数秒後の出来事。




fin
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ