□頂き物小説

□『白銀の月』様からの相互リンク記念小説
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今日も青学は平和です。
いつも通りに部活が始まり、いつも通りにメニューを渡され、いつも通りにこなしていき……

…………いつも通りにバカップルのいちゃつきを見せびらかされてます。


「ねぇねぇおチビっ」


菊丸がメニューの合間に隙をついては越前の所へと足を運んでいた。
そんな可愛らしい菊丸の行動に越前は普段見せないような優しい笑みで微笑む。


「また来たんスか?」


「ダメだった?」


「ダメじゃないッスよ。むしろ嬉しい」


ちょいちょいと手を下にしゃがめと菊丸に指示をすると、菊丸は素直に少し屈むような体制になった。
ちょうど越前と同じ目線になり、菊丸は嬉しそうに笑う。
越前もその笑顔に釣られ笑う。


「にゃんか恥ずかしいねっ、こーゆー風に好きな人が目の前にいると」


「可愛らしい事言いますね、キスしますよ」


「きっ!??ぶ、部活中にゃんだからダメっ!!」


真っ赤にしながら両手でバツを作り、否定をする。
そんな仕草がまた可愛くて越前の機嫌が良くなるだけだった。


「オレとのキス、嫌なんだ……」


少し寂しそうな雰囲気を出しながら、越前は愛用にしている帽子の鍔を下に下げた。
その様子を見て菊丸は慌てて否定をするが、越前の演技は続く。


「オレ、英二先輩に嫌われたくないから我慢するよ……。嫌がることもしたくない、し……」


「だ、だからねおチビっ、嫌いにならないよっ!」


「本当に…??」


「うんっ、オレおチビのことす…好きだよっ」


真っ正面から言う菊丸だったが段々と越前を見るのが恥ずかしくなりそっぽを向いてしまった。
その行動がまた可愛くて越前は微笑ましくなる。

そっぽ向いてる菊丸の手を握り締め自分の方へと向き直させ、ぐいっと少し引っ張る。



「オレも好きですよ、英二先輩」


「おチ、ビっ」


お互いの唇が10cm、5cm、1cm…触れるか触れないかの距離になった瞬間、越前の頭にテニスボールが見事に当たった。
菊丸は何が起こったのか分からず、ただおどおどして越前を心配する。

越前はというと、せっかくのキスを邪魔されたことで一気に不機嫌になる。
越前の邪魔をするのはたくさんいるが、ここだと邪魔する人はあの"野郎"しかいない。



「何するんスか、このノ・ー・コ・ン天才不二先輩」


顔が引きつる中、越前と菊丸の前に現れたのは清々しい顔をした不二だった。
越前を当てたのはまさしく目の前にいる先輩でとてもいい顔をしてらしゃると、ツッコミたくなるほどの満面な笑みで越前を見下ろしている。


「ゴメンネエチゼン、ダレモイナイカトオモッタンダケド"小さくて"ワカラナカッタヨ」


「何その下手な芝居、絶対に狙ってやりましたよね」


「だから言ってるじゃないか、小さくて分からなかったって」


「うわっ、ついに本性出したよこの魔王」


「誰が魔王だって?」


「あんたしかいないでしょ、腹黒魔王」


「褒め言葉として受け取っとくよ、(青学の)柱」


「喧嘩売ってるんスか」


「あぁ、(青学の)柱じゃないよね。そんなに大きくないし……あ、口が滑っちゃった」


「本当にムカつく、あんたって」


「褒め言葉として受け取っとくよ」


不二と越前の間にバチバチと火花が飛び交うのが見えるのはレギュラー陣だけではなく、全員が見えるだろう。
だが、そんな険悪ムードの二人を見て菊丸は少し不機嫌な顔をしていた。
少し苛立ちが見えついには痺れを切らしたのか、怒った様子で越前の腕を引っ張り自分の方へと引き寄せた。

その行動に驚いた越前と目の前に起こったことが信じられず不二は石化していた。
越前は状況を確認しようと冷静になり、今の状況を確認する。



何故か分からないが、越前は菊丸に抱き付かれており、菊丸の表情はすごく不機嫌だった。
と、いうより拗ねていると言った方がいいのかもしれない。


「えっと……英二先輩?」


「…………るぃ」


「へ?」


「不二ばっか構って……ずるいっ!」


何を言い出すかと思ったら突然可愛いことを言い出す菊丸に越前はつい笑ってしまった。
そんな越前に菊丸はからかわれてると勘違いし、不機嫌モードがどんどんと増す。


「むーっ!もうおチビにゃんか知らにゃいっ!!」


すっかり拗ねてしまった菊丸だが、越前から離れようとせずにずっと抱きついたままだ。
この天然無自覚は何処まで自分を誘えばいいんだと思いながら、越前は菊丸の腕にキスをした。
ピクリと反応し、反射的に菊丸は越前を見下ろす。


「やっとこっち向いた」


ニヤリと笑い、ご機嫌そうに笑う越前に菊丸はまたそっぽを向く。


「英二先輩、こっち見てくれないんスか?」


「だっておチビは不二と喋っていたいんだろっ」


「んな訳あるか」と内心で呟き、越前は抱きしめられてる腕にまたキスをし、菊丸の手を握った。
真っ赤になる菊丸は口をパクパクと金魚みたいに開け閉めをし、越前を見ていた。



「お、おチビまたキスにゃんかしてっ……!」


「嫌だった?」


悪戯笑みで笑い、菊丸をジッと見つめると無言で横を振る。


「オレは英二先輩しか興味ないし、英二先輩しかいらない」


「だからそんなにヤキモチしなくても大丈夫だよ」と優しく微笑むと、菊丸は嬉しそうに越前を抱き締める。
それを答えるように越前も抱き返し、またいつもの様にキャッキャとバカップルに変わる。




















二人がその場からいなくなった不二は石化から治り、どす黒いオーラを放ち、目が死んでいた。
代表(犠牲者)の手塚が近寄り不二へと話しかける。


「……不二、大丈夫か」


「………………あぁ手塚かい?今度部活で練習試合があるんだっけ、僕越前と試合したいな」


「いや、お前の対戦相手は大石で……「越前、と、殺りたいな……?」」


「………………そうだな」


「話が分かってくれる手塚でよかったよ」と黒笑みで手塚の肩を叩き、隣のコートで大石(犠牲者)と試合をしていた。
手塚は一つ溜め息をした後に、重い溜め息を吐いた。






「殺されるかと思った……」



END

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