小説

□ヴァージンロード(リョ菊)
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「なぁなぁ、ちゃんと聞いてる?」

部活の帰り道。

いつものように隣で歩いている愛しい人が、愛くるしい赤茶色の瞳で抗議の色を示していた。

「…聞いてましたよ?」
「〜〜〜ッ!なんだよその『?』はっ?!聞いてなかったんだろ!」

『ぷぅ』と頬を膨らませてそっぽを向くその人の表情は怒っていても愛らしくて、思わず笑みが漏れてしまう。

「そこでにゃんで笑うんだよっ!」
「いや…英二先輩可愛いな…と」
「はぁっ?!///」

夕焼けに照らされて赤くなっている頬に、更に赤みが増す。

「お…おチビは、そうやって俺をいつも誤魔化そうとするんだよにゃっ!」
拗ねているわけじゃないだろうが『プイッ』と菊丸はそっぽを向いた。

「別に…俺、ホントのことしか言いませんけど」
「うっ///」(どうしておチビはいつもサラリとこういう事を言うのかにゃ?!)

ストレートな物言いは、多分アメリカ育ちのせいなのだろうけど…そんな風に接してきても、純日本育ちの菊丸は免疫がなさ過ぎていつもシドロモドロになってしまう。

「ホントに聞いてなかったわけじゃないッスよ・・ただ、他ゴトを考えてたんで・・」

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