□頂き物小説

□君が好きだから(リョ菊)
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「ふー…」



ようやく部活も休憩に入り、気の幹に体をもたれかけ、影で休む。




そこに───…。












「あっ!!おちびはっけーん!!」



癖のある声でぴょんぴょんと跳ねながら走ってくる英二先輩。




昼前のあの出来事が
フラッシュバックする。



「…………なんすか?」



あっ、少しキツくなってしまった。



「あれ?どったの?元気ない?」



そんな僅かな機嫌の違いにも気付いてくれる。



「………先輩」


「ん?」


隣に座る先輩を見つめる。



「4限目、不二先輩にくっついてたでしょ」


「うん…くっついてたよ?」


「それ、止めてよね」


「ほぇ?なんでー?」




英二先輩はわからないといったような表情でリョーマに語り掛ける。



わかってる。



英二先輩のあの行動が、スキンシップだということは…。




「嫌なんすよ」




うん、そうだ。



嫌なんだ。



いや……。



いや?




「あっれー?もしかしておちび…。ヤキモチ妬いてるの?」



「………」



気付いてしまった。




そう、これはヤキモチだ。




「ねぇねぇ?おちびー?」



下を向く俺に先輩は覗き込むように上目遣いで見上げてくる。



「大丈ー夫だよん♪俺はいっつもおちびしか見てないからね♪」



「!!!」



「アハハ、照れてる♪かーわいいっ」




英二先輩はからかい口調。

にゃろう…。


それじゃ、俺も──…。









「!!!!」





英二先輩の口唇を、おれの唇で一瞬塞ぐ。



「お…おち…おち…びっっっ////」



今度は英二先輩が照れる番。




かーわいいっ。




「俺だけを見ててよねっ」


そう言い残すと、英二先輩の頭に帽子を乗せて俺はコートに向け走り出した。





END
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