黄昏
□残るのは儚さだけ
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……どこからか私を呼ぶ声が聞こえる。
「…れい、秀麗!!」
あぁ、この声は。
私の愛しいあの人の声…。
国を纏めるために玉座に座る“王”の声。
「…劉輝?ここはどこ?」
「秀麗!?やっと意識が…。―ここはそなたの邸だ。襲われて意識を失ったそなたを楸英が見つけ、運んできた」
その報告を聞いた時、心臓が止まるかと思った。
頭を強く殴られ、長時間雨に晒されていた秀麗の命は消えかけていた。
「そう…。私はどれぐらい眠っていたの?」
「二日間ずっと眠っていた。余…私は、秀麗が居なくなったら…と思うと恐怖で目の前が真っ暗になった///」
劉輝は今にも泣きそうだ。
「…ごめんね。心配かけて///でも、もう大丈夫よ」
だから、泣かないで//とそっと劉輝の頬に手をあてる。
その手に劉輝は自分の手を重ねる。
「…秀麗//私は時々後悔しそうになる。秀麗を官吏にしたことを」
秀麗の学力ならば上位とはならなくとも、国試で及第出来ることは解っていた。
そんなことをせずとも王の権限で妃にすれば手にすることは出来た。
…心までとはいかないが。