Main
□風邪A
1ページ/8ページ
〜无の場合〜
意味の分からない方法で検温をされた俺は、
今療師とかいうじじいのところへむかっている。
あんな方法で熱が計れるのかは甚だ疑問だが、自分の体調が優れない自覚はあったので黙って付いていく。
先ほど抵抗があまりできなかったこともある。
なぜか力があまり入らなかったのだ。
自分で思う以上に状態の悪いらしい体を引きずられるようにして歩く。
そう、引きずられるようにして、だ。
「お前歩くのはえー」
「え?あ!ご、ごめん大丈夫…?」
どうやら俺の言葉ではじめて引きずっている事実に気がついたらしい輿儀は足をとめた。
必要以上に眉尻を下げるので大丈夫だといってやるとふっと小さく息をつきいつもの脳天気な顔に戻った。
…いわなきゃ良かったか。