Main
□風邪B
1ページ/4ページ
〜輿儀の場合〜
人をさんざん馬鹿にしておいて自分もか。
情けねーな。
苦しそうに歪めた顔を枕に埋めている、一人の男を目の前にして俺は無性に腹が立っていた。
理由はこれ、だ。
「うー…花礫くんごめんね」
「は?何が?」
「約束守れなくて」
約束俺が風邪で意識が朦朧としてるのを良いことに勝手にしたもののことだろう。
俺と无が良くなったら、またかくれんぼするとかなんとか…。
ナイは知らないが俺自身はそんなもの反故になろうがどうしようが構わない。
つまりこいつは勝手に落ち込んで勝手に謝り続けている。
体調が悪いのに。
めんどくせぇ。
ため息をついて視線をはずすがまだ小さい声で謝っている声が聞こえる。