short dream
□ウェディングドレス
1ページ/1ページ
「はあぁぁ……綺麗だったなぁ、カナン」
「またそれ?」
三日ほど前エルザとカナンの結婚式があった。
それから名無しさんは、事あるごとに感嘆のため息をもらす。
「綺麗だったじゃない。シンプルな純白のドレスがよく似合ってて。スタイルいいし、本当に素敵な花嫁さんだったわ」
「そうだけどさ」
確かにカナンは綺麗だったよ。
でも僕は、君の方が綺麗だと思うんだ。
「そんなに何回も言わなくていいじゃん」
「分かってないなぁユーリス。ウェディングは女の子の憧れよ!」
「はいはい。……名無しさんもドレス着たいの?」
「うんまあね。ちょっとね……、着てみたいかも」
君もスタイルがいいから、ごてごてした飾りがついたものよりシンプルなのが似合うかな。
でも、ふわふわしたのも可愛いかもしれない。
色だけは決まってる。
真っ白の、雪のような純白。
青みがかった白も黄みがかった白も似合う人はいるけれど、君には淀みのない白が似合う。
「ユーリスはさ、私のドレス姿みたい?」
君は不意に悪戯っぽい瞳で聞いてきた。
見たいけどさ。
照れて、馬子にも衣装なんじゃないのとしか言えない。
「酷いなぁ。どうせ私じゃ、あんま似合わないとか思ってるんでしょ」
「……普通に似合うと思うけど」
「本当にっ?」
きらきらした目で見上げるのやめてよ。反則。
照れながら僕が頷くと、君は恐ろしく無邪気に言う。
「あははっ、何か結婚式やりたくなっちゃった!」
「な……!? 誰と?」
「そんなのユーリスしかいないじゃない。顔怖いよ?」
何だそういうことか。
他に好きな人が出きたのかと思って焦った。
「そういえば名無しさんはもう結婚できる年か……」
「そう! ちゃんと捕まえててくれないと私どこかに行っちゃうよー?」
「冗談、止めてよね。行かせないよ」
クスクスと笑う君を引き寄せる。
何だか僕、弄ばれてるような気がするんですけど。
「うん、行かないよ。でもちゃんと捕まえといてね?」
「いいの? 離さないよ?」
「いいの」
ぎゅーっと抱きしめる。
また笑う君。
幸せだなって、思う。
「待てる? 結婚式」
「……待つよ、いつまでも」
(君のウェディングドレス姿、早く見たいな)
(後一年よ。それまでのお楽しみ!)
―――
いつになく素直なユーリスといちゃいちゃいちゃいちゃ。