short dream

□認めたくない
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「おはよう名無しさん。今日は天気がいいぜ。ひさっしぶりに俺とデート行くかぁ?」

「……おはよう?」

「なっ何だよ機嫌わりぃな……。よく眠れなかったのか?」


頭を撫でる手ジャッカルの手をはたき落とすと名無しさんはくいっと片眉を上げた。


「また朝帰りぃ?」

「はっ? 俺昨日は普通に酒場に帰ってきたぞ」

「嘘つけぇ!」
「あいてっ! 痛ぇよ、やめろったら!」


見たんだもん、私。
昨日の夕方、噴水広場で貴方を。

傍らには女の子。
笑顔で話してたっけな。


貴方の浮気癖は今に始まったことじゃない。だけどさ、そろそろいい加減にしてよ。


「わたしという彼女がありながらジャッカルはいつもいつも……。もーう、我慢の限界っ!」

「落ち着け名無しさんっ! 俺何もしてないって濡れ衣だ!」

「へーえ? じゃあ昨日の女の子は誰かなぁ」

「あれは……くそっ、見てたのか?」

「やっぱりやましい事があるんじゃないの!! 楽しそうだったくせに」


あれは勝手に向こうがぶつかってきただけだ。

こっちに好意があるのが丸見えだったから急いで逃げようとしたが、しくじった。

ひっつかまえられて永遠と楽しくもない話を聞かされて、愛想笑いでごまかした。

それでも話し続けるあの子を遮って、帰ってきたんだ俺は。


なのに何で怒られるんだ!


「ジャッカルはさ、私が好きなの? 他の女の子が好きなの?」

「俺はお前がいい」

「でもその割には大切にしてくれないよね?」

「大切さ。名無しさんは」

「……他の女の子にも言ってるんでしょ、同じ事を」


不服そうな名無しさんを抱きしめ、ジャッカルはゆっくりと言った。


「これはお前にしか言ってねぇ。――……愛してる」






(認めたくないんだよ多分俺は)
(何をよ?)
(だから不安にさせちまうんだな)
(だから何を認めたくないの?)
(……お前が一番だってこと)






―――

失うのが怖いジャッカル。

ジャッカルで甘甘書いてみたいが難しいな……。


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