旅の仲間
□「少しでも楽になって… 私に魔法が使えるのなら!」
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みんなといっしょに裂け谷へ向かっていた時、唐突にピピンが名無しさんに尋ねた。
「ねぇ、名無しさんってどこの国のお姫様?」
「え……?ピピン、今なんて…?」
「だぁーかーら、名無しさんはどこの国のお姫様? どうして森にいたのか分からなくても、どこの国のお姫様だったのかぐらい覚えてるでしょ」
「いや、私は…」
「僕も聞きたい!」
「それは私も興味あるな…」
フロドとアラゴルンも参加
…なんかみんな思いっきり誤解しちゃってる。
私はそんな大層な身分の人じゃないってばっ!
「あのね、悪いんだけど
私、お姫様じゃないわ」
「もう、名無しさんってば隠しちゃって。どう見てもお姫様にしか見えないのに。僕達に嘘ついてもバレバレだよー?」
「本当に違うってば。
大体私のどこがお姫様に見えるの?」
「んーと、全部」
「それじゃワカンナイ」
「あえて言うなら……髪と、ドレス…かな」
あああ、そうだった。
着替える前にこちらの世界に来てしまったからあのパーティーのドレスのままこっちに来ていた。
つまり私は今、お姫様顔負けの豪華なドレスを身につけているわけだ。
ドレスのせいか…
「ね、ね。どこの国のお姫様なの?」
否定するのがめんどくさくなり、私は言った。
「お姫様なんかじゃないよ…
でもあえていうなら日本かしら。
日本に住んでるごく普通の人間なの、私は」
「ニホン?どこ?
聞いたことないなぁ」
後半半分は見事にスルーして聞いたピピンを軽くごまかす。
「小さな国だもの」
日本はロシアとかアメリカと比べるとかなり小さい。
本当の事だもん。