旅の仲間
□「夢の中でサウロンに会ったの…」
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「……ん…?何ここ…?」
目覚めたら、辺り一面真っ暗闇の世界。光など、何処にもない。
「恐い…みんな何処にいるの? 誰かぁ…」
闇しか見えない恐怖。
その時、頭に声が響き目の前に炎でふちどられた赤い目が姿を表した。
それは…
……サウロン
頭に直接声が響いてくる
『異世界の娘…癒し姫よ…我が元に来い』
威厳のある声。
怖い・・・・・。
癒し姫って誰のこと・・?
異世界の娘はきっと私のことだ。
でも私、サウロンに呼ばれるようなことはした覚えない。
「ひっ、人違いじゃないかしら!?」
緊張で、声がひっくり返った。
しかしサウロンはイラついたように声を荒らげる。
『お前のことだ癒し姫よ…早く我が元に来い!』
何なのもう…
「私に…何の用事があるの」
『お前のその力を差し出せ。そのために我が異世界から召還したのだ。我と一緒に来い。さすればお前を世界の女王にしてやろう』
差し出せ?
人に物を頼む時にそんな態度でいいの? 礼儀がなってないわね。
しゃべり方偉そうだし。
なーんて。
名無しさんにはいえる筈もなく。(言えたらすっきりしそうよね)
近づいてくるサウロンを前にじりじりと後ずさるだけだった。
「いやっ!お願いこないで!」
『逃げても無駄だ…癒し姫よ…』
そこまで言って、いきなり動きを止めるサウロン。
諦めてくれた…?
『もう時間が無いようだ…しかし、待っていろ。必ずお前を我が元に…』
さらに近づいてきて消えたサウロン。目の前に赤一色が広がり私は絶叫した。
「いやあぁあぁあっ!」