旅の仲間

□「話す暇あったら後ろ見てっ!」
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「ねぇガンダルフったら!
名無しさんは何で消えちゃったの? どこに行ったの? 何時戻ってくるの? それとも……もう戻ってこないの!? 教えてよ! 何で無視するの!」


「五月蝿い、黙っておれ!
もうじき分かると何度も言っておるじゃろう!」

「でも‥‥!」




こんな会話が何度繰り返されたことだろう‥‥‥‥

丁度名無しさんが意識を手放した時、旅の仲間達はカラズラスのふもと辺りに来ていた。






一方意識を手放した名無しさんはと言うと‥




「あ‥…れ? 体が浮いてる?」


そんな訳なく。
名無しさんの体は落下していた。


「きゃああぁあー! 何で私こんな所にいるの! 飛び降り自殺なんてした覚えないわっ!」


名無しさんの真下に旅の仲間が歩いていること。

皆の上空に名無しさんがいること。


双方ともまだ気づいていない。



「嫌ぁっ、こんな死に方なんて冗談じゃないわよっ! 大体ここ標高何メートル?かなり高いじゃない‥…。‥あっ!」



先に気がついたのは名無しさんの方だった。



「下に誰かいる!? もう本当に誰でもいいから助けてぇー!!」



下にいるのが旅の仲間だとはまだ分かっていないようだ。


ほとんど同時に一同も気づく。



「あれはっ!? 人が落ちているぞ! しかもあの髪の色は……」



綺麗に纏められていた筈の薔薇色の長い髪は落下の風力で完全に広がり、旅の仲間達は遠目からでも1目で名無しさんだと分かった。



「名無しさんーー!?」



みんなの声が重なる。
しかし名無しさんはまだ気づいていない。



「‥‥‥」





なぜなら、名無しさんはぎゅっと固く目を瞑っていたからだ。
地面はもう目前。






旅の仲間が走るが果たして間に合うか‥!?
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