旅の仲間

□「やっぱり科学の力は偉大よね」
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「わぁ…凄く綺麗!」


雪山を登っているというのに、寒いことも忘れて名無しさんははしゃいでいた。
雪を見るのは久しぶりだ。



「凄いわ、こんなに沢山積もるなんて…!」



さっきから凄い、と綺麗、を連発している名無しさんを苦笑しながら見つめるボロミア。



「寒くないのか?
それに…そんなにはしゃぐと後で疲れるぞ?」


「勿論とぉっっても寒いわよ。でも、寒いって言ったら余計寒くなるでしょ?」



防寒下着に、冬用の服。ショールにローブ、瑠璃色の留め具がついたフレアマント。

その上ブランケットにくるまっている。

もちろん、マフラー、手袋、カイロもつけ防寒対策はしっかりしている。
旅の仲間の誰よりも暖かい筈だ。



‥‥‥‥‥なのに。

私が一番寒そうなのは何故??



名無しさんが疑問に思っていると、前にいたフロドが転がってきた。




やばい!!!!
始まってしまう!



アラゴルンに抱き止められたフロドは胸の辺りを探し、指輪が無いことに気付いた。
慌てて辺りを探すが指輪は既にボロミアの手の中。



「不思議だ‥こんな小さな物が我々に‥」

「そうね、不思議よねー。世の中は不思議なことだらけだわ」



台詞の途中で割り込み、名無しさんは一旦言葉を切った。



「でも、そんな事より」

(そんな事だって!?)by旅の仲間全員



「雪だるま作ったの」

ニコッと無邪気に笑い、ほら来て来てー、とボロミアの服の裾を引っ張る名無しさん。



かっ可愛すぎる‥

一瞬見とれてしまったボロミアだったが名無しさんの早くー、という声に我に返った。



「ちょっと待ってくれ!」



フロドにいとも簡単に指輪を渡し、名無しさんの方へといく姿はいつものボロミアだった。



名無しさんがほっとしたような顔のフロドに微笑んで見せると、フロドは口の形だけでありがとう、と返す。

隣のアラゴルンを盗み見ると、やっぱり剣の柄から手をゆっくりと離すところを見てしまった。




遅かった.........



ボロミアと雪だるま(速攻で作った)のとこまで行く途中、すれ違いざまにアラゴルンにしか聞こえないような小声で言う。




「アラゴルン、お願いだから…仲間に剣を向けることだけはしないで………」



見ていたのか!?

勢いよく振り向くと名無しさんの後ろ姿はもう遠ざかっていた。
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