short dream

□ウェディングドレス
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「はあぁぁ……綺麗だったなぁ、カナン」

「またそれ?」


三日ほど前エルザとカナンの結婚式があった。

それから名無しさんは、事あるごとに感嘆のため息をもらす。


「綺麗だったじゃない。シンプルな純白のドレスがよく似合ってて。スタイルいいし、本当に素敵な花嫁さんだったわ」

「そうだけどさ」



確かにカナンは綺麗だったよ。

でも僕は、君の方が綺麗だと思うんだ。



「そんなに何回も言わなくていいじゃん」

「分かってないなぁユーリス。ウェディングは女の子の憧れよ!」

「はいはい。……名無しさんもドレス着たいの?」

「うんまあね。ちょっとね……、着てみたいかも」


君もスタイルがいいから、ごてごてした飾りがついたものよりシンプルなのが似合うかな。

でも、ふわふわしたのも可愛いかもしれない。


色だけは決まってる。
真っ白の、雪のような純白。

青みがかった白も黄みがかった白も似合う人はいるけれど、君には淀みのない白が似合う。


「ユーリスはさ、私のドレス姿みたい?」


君は不意に悪戯っぽい瞳で聞いてきた。
見たいけどさ。
照れて、馬子にも衣装なんじゃないのとしか言えない。


「酷いなぁ。どうせ私じゃ、あんま似合わないとか思ってるんでしょ」

「……普通に似合うと思うけど」

「本当にっ?」


きらきらした目で見上げるのやめてよ。反則。

照れながら僕が頷くと、君は恐ろしく無邪気に言う。


「あははっ、何か結婚式やりたくなっちゃった!」

「な……!? 誰と?」

「そんなのユーリスしかいないじゃない。顔怖いよ?」


何だそういうことか。
他に好きな人が出きたのかと思って焦った。


「そういえば名無しさんはもう結婚できる年か……」

「そう! ちゃんと捕まえててくれないと私どこかに行っちゃうよー?」

「冗談、止めてよね。行かせないよ」



クスクスと笑う君を引き寄せる。
何だか僕、弄ばれてるような気がするんですけど。


「うん、行かないよ。でもちゃんと捕まえといてね?」

「いいの? 離さないよ?」

「いいの」


ぎゅーっと抱きしめる。
また笑う君。
幸せだなって、思う。





「待てる? 結婚式」

「……待つよ、いつまでも」





(君のウェディングドレス姿、早く見たいな)
(後一年よ。それまでのお楽しみ!)

―――



いつになく素直なユーリスといちゃいちゃいちゃいちゃ。




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