あ〜の
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『ひっよしー!』
「何です?」
『おはようのチューは?』
「そんなことしません」
元気で誰にでも優しい先輩。
そんな貴女に惹かれた。
先日想いを伝えたら、
『私も日吉くんに恋してました』
と、照れながら答えてくれた。
その日から俺達は付き合うことになったんだが……まろん先輩はキス魔だということを知らなかった。
さっきもいきなり校門の前でキスを求められた。まあ8割方は断っても(ホッペに)キスしていくけど。
嬉しくないわけではない。ただ、恥ずかしいだけ。
昼休み一緒にご飯を食べようと前日まろん先輩から誘いがあったので、食堂に向かうと端のほうの2人席に先輩が座っていた。
「早かったですね、まろん先輩」
『お腹空きすぎちゃったから授業終わったあとすぐ来ちゃったっ』
「そうですか…」
『じゃあ食べよっか』
「そうですね」
食堂で昼食、といっても先輩も俺も弁当持参。
『いただきます!』
「いただきます」
『ところで日吉くん』
「…何ですか?」
『日吉はさー、私とキスするの嫌?』
「つっ!いきなりなんですか?」
本当にいきなりなんなんだ。
『だって、日吉いつも断るじゃん。私、毎日地味に傷付いてるんだけど』
「………」
『キスってさ、一つのスキンシップだと思うんだよね。あ、勿論誰にでもっていうわけじゃないんだけど』
「………」
目線をそらしながら言う先輩。
『…………?』
そんな先輩がなんだか可愛くて
『あ、あの、聞いてる?』
―――チュッ
『!!?』
「……に…」
『へ///?』
「……別に嫌いな訳ではありません。正直嬉しい。だけど恥ずかしいんですよ。人がいる所での…キスは」
まあ、今のは単純にしたかったからキスしただけなんですが。
「人気がない所なら、俺だってまろん先輩にたくさんキスしたいです」
『そ、そっか…///なんかごめん、そしてありがとう』
………なんだこの先輩。
いきなり反応が可愛い。
――チュッ
『ちょっ、日吉///!!』
「この場所はあまり目立たないんで。先輩の好きなキスがたくさん出来ますよ?」
『い、いや、今は大丈夫…///』
「遠慮しないでくださいよ」
おでこ、頬、手の甲、唇、といろいろな所に軽く口付ける。先輩は恥ずかしいのか、何も言わなくなった。いつもは人前でキスねだってくるくせに。
でもそんな先輩が可愛くて、またキスをする。
あぁ、俺もキス魔かもしれない。
END
((《キーンコーンカーンコーン》))
(……いい所なのに)
(日吉っ)
(なんです?)
(チュッ)
(!!)
(授業頑張れるおまじないっ)