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「パパ、ママは何が一番好きなのかなー?」
「そうだな……何でも好きなんじゃねぇの?」
「でもママ虫嫌いだよ?」
「それはそうだが……」
昨日、蘭太と約束していた母の日のプレゼントを買いに街まできた。蘭太は通る店通る店覗き、あれはどーだこれはどーだ言ってやがる。
蘭の好きな物…そういえば好きな物じゃねぇが
『“最近髪が伸びてきたなー”』
とか言ってたな。
髪を結わく……なんて言うんだ?とにかくそれを蘭太が渡せばいいんじゃねぇか?
「おい蘭太」
「なにーパパ」
「あっちの店行くぞ」
「はーい!」
「ねぇパパ?このお店で買うの?」
「……あった、この辺だ」
「……あぁ、シュシュか!ママ髪の毛よく結んでるもんね!」
そうだ、髪留めとかじゃなくシュシュって洒落た名前があったな…
「蘭太、こん中からママに似合いそうなやつ2つ選べ」
「じゃあぼく1つ選ぶからパパ1つ選んで!」
「なんでだ?」
「そのほーが、ママ喜ぶよ!」
「……フッ、そうか、じゃあ一つ一つな」
「うんっ!!」
蘭太はピンク色した可愛い感じのシュシュ。俺は白いシュシュを選んだ。
店の中をまだ見てたいという蘭太に一言伝えてから離れ、会計を済まそうとレジへ行かう途中に蘭に似合いそうなネックレスがあったので、シュシュとは別にプレゼント用にしてもらった。
「パパ、もうおうち帰るの?」
「そうだな……花買ったら、家帰るぞ」
「お花!ママ喜んでくれるかなー?」
「あぁ、きっと喜んでくれるぜ」
―――ガチャ
「ただいま…」
「ただいまー!ママー!」
『ふふっ、おかえりなさい』
「ママっ、これっ!」
『あら、これ貰ってもいいの?』
「うん!母の日だから、パパと一緒に選んだんだ♪あとお花も!」
『ありがとう蘭太、凄く嬉しいわ。パパもありがとう』
「おぅ…///」
やっぱり喜んでもらえると嬉しい…きっとババアの時より。
『蘭太、これ開けてもいいかしら?』
「うん!」
『………まあ、可愛いシュシュっ』
「こっちのねー、ピンク色のほうを選んだのがぼくなんだ」
「で、こっちが俺だ」
『二人とも、本当にありがとう。大切にするねっ!…じゃあ、夜ご飯食べましょうか』
「うんっ!」
「蘭太の様子は?」
『うん、ぐっすり寝てた』
「そうか…」
夕飯を食べ終え、風呂に入ったら蘭太はすぐに寝た。俺がソファーで寛いでいると蘭が隣に座った。風呂上がりの蘭からはいい匂いがする…。
『パっ……あっくん、今日はありがとう』
「…ん」
『蘭太にね、“パパね、すっごい真剣にシュシュ選んでたよ”って教えてもらっちゃった』
「ちっ…蘭太も余計なことを……」
『でもそれ聞いた時、凄く嬉しかった』
「ふんっ、そうか…………おい、蘭」
『何?』
先ほど同じ店で買ったネックレスの入ってる袋を渡す。
『え、これ貰ってもいいの?』
「おう」
『開けていい?』
「…おう」
『……………うわぁー!綺麗なネックレス!』
「…いつも頑張ってくれてるから、蘭にご褒美だ」
『ふふっ、あっくんありがとう』
きゃっきゃ騒ぎ出す蘭。喜び方がまだまだ子供だ。
少ししたらおとなしくなり、俺の肩に頭を乗せるように寄りかかってきた。
『これ、明日幼稚園のママ友さんに自慢するね』
「ハッ、こんな安物笑われて終わりだぜ?」
『値段は関係ないもん。気持ちが嬉しかったから』
「……照れさせるようなこと言うんじゃねぇ…///」
『へへー///……あ、思いついた!父の日はお出かけしよう!』
「……何処行くんだ?」
『んー…内緒!だからお仕事はどんなことがあってもお休みしてね』
「しょうがねぇ…わかったよ…///」
こうして今年の母の日は終わった。柄にもなく父の日が楽しみになった…
END
(パパ、)
(なんだよママ)
(大好きっ)
(……俺もだ)
―――――――
亜久津くんと夢主がいつ頃出会ったとか細かい内容はご想像にお任せします 笑
それにしても亜久津くんお得意のツンツンがなくて偽者すぎる……
まあたまにはツンツンしてない亜久津くんでも…って天宮が書く亜久津くんはツンツンが少ないぞ…!
そして、少し悩んだのですが蘭太の話し方について。
もう少しひらがなを多くして子供っぽさをだしたほうがいいのかとも思いましたが、それじゃあ読みにくいと自分が思い普通にしました。5歳前後ってこれくらい喋るのかな…?
では、ここまで読んでくださりありがとうございました