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□気付かないもんだね
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「なあ、亜久津」
 
「なんだよ…」
 
「俺さ、昨日見ちゃったんだよ」
 
「何をだ、何を」
 
「“お前の愛しの蘭ちゃんが、知らない男と歩いてるのをだよ”」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
昨日は日曜日で、俺と蘭は駅まで出かけた。……いわゆるデートだ。
 
蘭が腹減ったっつーから一緒に昼飯食って、蘭が服みたいっつーからデパート行って、蘭が疲れたっつーからモンブランが美味いケーキ屋入って………
 
その後は少し公園ブラついてたら蘭の携帯が鳴って、急用が出来たとかなんとか言って解散になった。
 
 
――もしかして、あの時の電話――
 
 
俺は教室でほかの女子と話してる蘭に直接聞きにいった
 
 
「…おい」
 
『わっ!…どうしたの?』
 
「ちょっと話がある」
 
『…?うん、わかった。』
 
 
人の少ない場所で話したい為、教室からでようとした俺。蘭はさっきまで話していた女友達に“ごめんねー”と言い俺に付いてきた。
 
 
『仁くん、何処向かうの?』
 
「……屋上」
 
『……仁くん何か怒ってる…?』
 
「…………」
 
 
そのまま屋上まで無言で歩いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
『…話しって何?もしかして…、別れよう…とか?』
 
 
屋上に着くなり、蘭が俺にそういった。
 
 
「別にそういう訳じゃねぇよ」
 
『じゃあ…』
 
「昨日の電話の相手、誰だ?」
 
 
回りくどい言い方は苦手だから、一番聞きたい事をストレートに聞く俺。
 
 
『……へ?お母さんだよ??』
 
「……嘘ついてねぇよな?」
 
『ほんとだって!……ほら!』
 
 
制服のポケットから携帯を取り出し、履歴の画面を見せてきた蘭。昨日電話きたのが夕方で、その時間帯にかけてきたのは“お母さん”しかない。 
 
「電話の内容…聞いてもいいか?」
 
『えっ?お父さんが倒れたっていう話で……まあ帰ってから知ったんだけど、睡眠不足が原因で倒れただけだったから昨日たくさん寝て、今日元気に仕事に行ったよ』
 
「…そうだったのか」
 
『もしかして、昨日いきなり帰るって言っちゃったから怒ってる?本当にごめんね……』
 
「怒ってるわけじゃねぇ…」
 
 
じゃあ奴が言ってた男は誰だ…?
 
 
『……?仁くんどうしたの?』
 
「もうひとつ聞いていいか…?」
 
『うん…』
 
「昨日、あの後誰か男と歩いたか?」
 
『昨日は家に帰った後、外に出てないよ?なんで?』
 
 
……どういうことだ?
 
 
「……実は、…」
 
 
奴に言われたことを蘭に話すと、蘭は
 
 
『もしかして、それって仁くんのじゃない?』
 
 
と…………俺?
 
 
「なんでクラスの奴が俺の顔わかんねぇんだ」
 
『ほら、昨日の仁くん今日みたいに髪たててなかったじゃん』
 
「………」
 
『髪とかしただけだったでしょ?』
 
 
確かに昨日は蘭が“髪おろしてきてね☆”とか言いやがったからセットしないで待ち合わせ場所に向かってやった。顔見なかったら、俺だって気付かないかもしれねぇ……
 
 
「あのやろう…」
 
『……あっくんもしかして私のこと疑ってた?』
 
「いや、別にそういう訳じゃ……」
 
『へー疑ってたんだ…なんかショック』
 
「だからっ…!」
 
『ふふっ、嘘だよ嘘』
 
 
 
 
 
END
 
 
(あっくん今度は学校にも髪たてないでくれば?)
(それは断る)
 
 
 
 
 
―――――
 
絶対髪おろしてても亜久津くんは素敵
……奴って言うのはたたのクラスメートAです。決して千石さんではありません 笑
 
 
 

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