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□父の日
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「ママーパパー早くー!」
 
「わかったから……」
 
『蘭太、あんまり急ぐと転』
 
 
――ドテッ
 
 
『あらら』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

『へへー///……あ、思いついた!父の日はお出かけしよう!』
 
「……何処行くんだ?」
 
『んー…内緒!だからお仕事はどんなことがあってもお休みしてね』
 
「しょうがねぇ…わかったよ…///」

 
 
楽しかった母の日から約1ヵ月。
 
今日は父の日前日です。
 
つまり土曜日。
 
 
「いててっ」
 
『あらっ、泣かないなんて偉いわねー蘭太』
 
「僕男だもんっ。もうこれくらいじゃ泣かないよ!」
 
「だが膝から血がたくさんでてるぜ?」
 
『痛そう…今ハンカチ濡らしてくるね!』
 
 
蘭太とあっくんを置いて川の水でハンカチを濡らす。
 
 
……そうわたし達は絶賛旅行中です。
 
 
蘭太に“パパが行きたそうな所ってどこだと思う?”と聞いたら“温泉で疲れを取ってあげようよ!”と返されたので温泉にきました。
 
先程旅館に荷物を置いてきて、今は旅館近くの川沿いを歩いてます。
 
 
『はい、蘭太、バイキン入ったら痛いから傷口拭きましょうね』
 
「いったーっ!」
 
「男なら我慢しろ」
 
 
蘭太は涙目になり唇の端を噛みながら痛みに耐えてました。
 
 
『よしっ、さっきより綺麗になったよ』
 
 
少し大きめの絆創膏を貼ると
 
 
「ママっ、ありがとう」
 
 
と蘭太に言われた。うん、可愛い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
楽しい時間はあっという間に過ぎていくもので。気がつくともう夕方だ。
 
わたし達は夕食の前に温泉に入ることにした。
 
あっくんと蘭太は3人で一緒に混浴のほうに入りたいって言ってたけれど、流石に恥ずかしいので私は女湯、2人は男湯と別々に入ることにした。
 
 
『(夕方だし、誰が入ってくるかわからないじゃない……!)』
 
 
顔を洗い、頭を洗い、身体を洗い……すべて洗ったあと誰もいない温泉に浸かる。
 
広い所に1人で浸かるなんて初めてかもしれない。
 
………今頃2人も湯に浸かってるのかな?
 
 
――僕温泉初めてだ!
 
――そういえば…そうだな
 
――パパっ、気持ちいいね!
 
――おう
 
 
とか2人で話してるのかなー
 
……さっ、そろそろ出ますか。
 
 
 
 
 
 
部屋に戻るともう2人共いて、夕食も部屋に運ばれていた。
 
 
「ママ遅いよー」
 
『ふふっ、ごめんなさいね』
 
「蘭太、女は男より時間がたくさんかかんだよ」
 
「そうなの?」
 
『……まあ、間違ってないかな?多分……そんなことよりご飯冷めちゃうね、食べよっか』
 
「うん!僕お腹空いちゃったよー」
 
「ちゃんと“いただきます”してから食えよ」
 
「はーい!いただきまーす」
 
 
美味しそうな料理を蘭太は次々と口に運ぶ。…この子は本当に美味しそうに食べるなーなんて思いながら私も食べる。
 
…………うん、美味しい。
 
あっくんも美味しいと思っているらしく、ずっと食べている。
 
 
旅行って食事の時間でさえもこんなに幸せな気分になれるのか…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
食事も終わり、お部屋でゆっくりした後布団を敷くと蘭太はすぐに寝てしまった。わたしとあっくんは別室でお茶を飲みテレビを見ながらくつろいでいた。
時刻はすでに夜中の12時を過ぎている。
 
 
「…おい」
 
『何ー?』
 
「風呂入んぞ」
 
『え?』
 
「混浴のほうの風呂、入んだよ」
 
『ちょっ、誰か入ってきたら…』
 
「この時間なら平気だろ」
 
あっくんはそう言いながら私の手を引き部屋を出た。
 
 
 
 
『……結局来ちゃったけど』
 
「誰もいねぇんだし、気にすんな……だからタオル取れよ」
 
『いや、それは無理…むしろあっくんは腰にタオル巻いたほうがいいよ』
 
 
目のやり場に困ります。
 
 
「今更だろーが」
 
『今更とか関係ないよ!みてる私が恥ずかしい…///』
 
「…フン、湯に浸かっちまえば気にならねぇだろ」
 
 
あっくんは話しながら湯に浸かりはじめたので私も浸かる。
 
 
『フーっ。やっぱり気持ちいいなー』
 
「……二人でこうして温泉に入るなんて、初めてだよな?」
 
「言われてみれば確かに」
 
 
結婚する前に一度優希ちゃんとわたしの両親と一緒に温泉行ったっけ。懐かしい。
 
 
「おい、蘭」
 
『んー……!』
 
 
さっきまで横にいたあっくんに、不意に後ろ名前を呼ばれたと思ったらそのまま抱きしめられた。
 
 
『あっ、あっくん…?』
 
「…ありがとう、な」
 
『……いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます』
 
「………」
 
 
――チュッ
 
 
『……!』
 
 
今度はいきなり頬にキスされた。
 
 
「また三人で旅行いこうな」
 
『うんっ!』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次の日、早めに旅館を出て動物園に行きたくさん遊んだ。
 
あっくんは蘭太に
 
「ライオンだろうとトラだろうとウサギだろうと、戦って勝ったやつが強い」
 
って言ってたけど…あれこれ私も聞いたことあるな。
 
そして夜は外食して、家に少し早めに帰宅。蘭太は明日幼稚園だしあっくんは仕事だし…。
 
 
あっくんが寝た後、渡しそびれた父の日のプレゼントを枕元に置いた。自分でいうのも変だけど、サンタさんみたい。
 
起きた時喜んでくれるといいなー。
 
 
 
 
 
END
 
 
 
―――――――
 
 
 
あとがきという名の反省
 
 
前日のほうが濃くなってしまった…!
あ、書いてて一番思った所なんですが、パパと蘭太の入浴シーン。
あそこ、ママさんはあんなこと想像してましたが、実際は
 
 
「パパのちんちんは何でそんなに大きいのー?」
 
「は?」
 
「僕もおっきくなる?」
 
「……蘭太もパパくらい成長したらこんくらいデカくなんだろ」
 
 
とかいう男ならではの会話をしてると思います。女でいう「なんでママのおっぱいはry」ってやつですねw
 
………すいませんそれがどうしても書きたかったんです←
 
あと動物園のセリフはあれですね。ゲームのやつもろパクリです←←
 
 
 
ではここまで読んでくださりありがとうございましたっ!
 
 
 

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