S
□昔の僕、今の俺
1ページ/1ページ
ザァーーー
「(寒いよ…お腹空いたよ…)」
そう思いながらも、雨の中鳴くことしか出来ないダンボールに入った子犬の僕。
そんな僕に近づく1人の男の子。
?「お前、捨てられちゃったの?…こんな雨降ってんのに。寒いだろ?」
そういいながら僕をダンボールからだし、抱きしめてくれた。
犬「…キャンキャンッ」
?「よしよし、俺んち行こうな!!」
僕はよく分からないまま、この男の子の家に連れていかれた。
――ガチャッ
?「わんちゃん、ここが俺の部屋だ。今食べ物持ってくるからいい子で待ってろよ?」
そういって出て行った男の子。
僕は周りを見回してみた。
黄色くて僕より少し小さいボールが落ちていた。
気になったから近づいて、恐る恐る前足で触れてみた…
ちょうど触れたのと同じタイミングで男の子が戻ってきた。
ビックリして飛び上がった僕。
そんな僕に笑いながら近づいてきた男の子。
?「これはテニスボールってゆうんだぜ!!俺、テニスやってんだー……っと、おいわんちゃん、食べ物持ってきたぜ」
男の子の言う【テニス】にはあまり興味がなく(というより分からないので)、お腹が空いてた僕は食べ物に一直線で向かった。
?「おー、すげー食いっぷり。食べ終わったら風呂入るからなー!!」
食べ終わったあと、男の子と一緒にお風呂。少し怖かった。
お風呂から上がったら、僕の体をタオルで拭いてくれた。……痛いくらい強く。
その後、男の子と一緒にベッドに入る。
?「そういえば、名前教えてなかったな。俺は亮、宍戸亮だ。覚えとけよ、わんちゃん」
男の子はそう名乗った。
男の子…亮くんが寝たあと、僕は神様に祈った。
「(神様、僕はこの優しい亮くんに恩返しがしたいです。でも犬のままだと何も出来ません。
お願いします神様、僕を人間にしてください…。)」
――いつの間にか寝ていた僕。
ふとベッドの横にある大きな鏡をみると、僕は人間になっていた。
…ビックリ。
僕、美少年じゃないか。
いやいや今はそんなこと言ってる場合じゃない。
僕の隣にはスヤスヤ…というよりグースカ寝てる亮くん。
ベッドから静かに降り、机に向かう僕。
亮くんに手紙を書くためだ。
「…命の恩人亮くん、昨日はありがとう。今の僕には何も出来ない…だけど、いつか必ず恩返ししにきます。それまで僕を忘れないでください。僕の名前は長太郎。覚えておいてください。ありがとう亮くん。」
手紙を寝ている亮くんの横に置き、僕は部屋をでた……―――
―――――
『へぇー!!長太郎くんって元わんちゃんだったんだ!!』
鳳「そうなんですよー」
宍「…いやいや、まて長太郎!!話作ってんじゃねー。まず俺は犬拾ったことねぇよ;」
鳳「………ちっ(舌打ち)」
『えっ、今までの全部嘘なの!?』
鳳「あーあ、宍戸さんが言わなきゃ蘭先輩信じてたのにー」
宍「……;;(長太郎、性格変わったな;)」
『なんだー、小さい頃の宍戸くん可愛いとか思ってたのにー』
……ある日の部室でのお話しでした。
END
09.06.26