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□モンブランは君のために
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3月31日、
大好きな亜久津くんの誕生日まで、あと少し。
(よし、そろそろ準備しなきゃ)
亜久津くんが好きなもの、欲しいものがわからない
そう思った去年の3月。
結局、誕生日にはシルバーアクセサリーをプレゼントした。
でも誕生日が過ぎ、あることを思い出す。
彼が好きなものがわからなくても、彼が好きな食べ物があるじゃないか。
だから、彼の好きなあのデザートを作ろうと思った
だが、ここで問題が一つ…
「(私料理がすこぶる下手じゃないか…!!」
ということで、昨年の6月から月に一つのペースでモンブランを作ることにした。
最初のころは見た目不細工&味イマイチなものばかりだったけど、少しずつ良くなっていき先月作ったモンブランは自分でも満足いくものが出来た。
………ちなみに今まで作ったモンブランは、後輩の壇太一くんに食べてもらってて亜久津くんには内緒で作って渡してた。
太一くんは最初「おいしいですっ」としか言ってくれなくて困ったけど、ちゃんと「もう少し、砂糖は少なめでいいと思うです」とかアドバイスをくれた。
うん!太一くんはいい後輩だ!
とりあえず、モンブランは明日作るとして…
今日はバースデーカードを書こう!
………
………………
だめだ!
亜久津くんに手紙すら書いたことないから、なんか緊張する…!!
結局1時間弱かけて、やっと書けた。
バースデーカード書いただけなのに、凄く疲れた……!
4月1日
いよいよ明日が誕生日。
今日はモンブランつくります!
材料を事前に買っておいてよかった!
よし、まずマロンクリームを作らなきゃ……
―――1時間半後―――
「(ふぅーっ、出来た!)」
月一で作っていた甲斐があって、見た目・味(作っている途中味見したから)共に合格。
ラッピングは明日、家出る前するのでひとまず冷蔵庫の中へ。
もちろん誰かに食べられるといけないので、冷蔵庫の扉の部分に“モンブラン食べるな危険”と貼り紙しておいた。
家族に食べられたりしたら大変だし。