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□おめでとう
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「南ー、今日誕生日だったよね?はい、プレゼントっ☆」


「あっ、ああ…ありがとうな、千石」





朝、たまたま登校中に南先輩と千石先輩をみかけた。



私も南先輩に“おめでとうございます”って言いたいな…。


















今日はテニス部部長の南先輩のお誕生日。南先輩、地味とか言われているのを聞いたことがあるけど全然地味じゃないし誰にでも優しい素敵な先輩…。
私はそんな先輩に恋をした。



だから誕生日の今日、一言“お誕生日おめでとうございます”って伝えたい…でも私、南先輩と話したこともないし、いきなり知らない人から祝われても困るよね…。


うーん……どうにか伝えられないだろうか。


…………あ、紙に書いて後でこっそり下駄箱に入れるとか…?いや、でも難しいかなー。休み時間は人が多いからダメだし放課後だと今日読んでもらえないかもしれないし。



《キーンコーンカーンコーン》



考えていたら授業が終わってしまった。次は移動教室で。3年生の教室がある2階に行かなければいけない。


いつもの私だったら2階へ行くのが楽しみなのに、今日はいつもと違う。



『(なんか変にドキドキする…!!)』



そして今日に限って、いつも一緒にいる友人達は先に行っちゃうし……



仕方ない…と思いながら次の授業が行われる教室へ向かった















2階の廊下1人で歩くのは、やはり勇気がいる。……1年生の私には3年生が大人にみえる。


少し俯きながら歩いていると、横の教室からでてきた人にぶつかってしまった。



「…っ、いってー…」


『すっ、すいません!!』


「あー、マジいてぇ。ちゃんと前みて歩けよ!!」


『本当にすいません…!!』


「まあまあ…お前も見てなかったんだし、この子も謝ってるんだから許してあげなよ」

『…!!』


「…ちっ、次から気をつけろよな」



そういって(ちょっと悪い感じの)先輩は教室に戻った。
それより、だ。



「あの…大丈夫かい?」



わたしを助けてくれたこの人…。



『あっ…ありがとうございます、南先輩…』


そう、南健太郎先輩だ。


「怪我とかしていないか?……って、少し擦りむいてるな。」


『あ、いえ、これくらいなら大丈夫です』


「いや、保健室に行こう」



そういって私の手を引いて廊下を歩き出す南先輩…


やばっ、照れる…っ


保健室に着いたが、先生はいなかった。



「先生いないか…とりあえず、君が嫌じゃなかったら俺が手当てするけど…」


『嫌なんかじゃ…!!あの…すいませんがお願いします…///』


「ははっ、任せてよ。よしっ、じゃあ一応消毒しておくな。廊下にもそれなりにばい菌がいると思うし」



痛かったらごめんな、といい消毒液を傷口にかけるが全然痛くなく、絆創膏を貼ってもらいすぐに手当てが終わった。



『ありがとうございます…!!』


「気にしなくていいよ、それより君、名前は?」


『あ、紋舞蘭といいます』


「蘭…ちゃん、か。うん、いい名前だな」


『そうですか…///?初めて言われましたっ』


「フッ…、じゃあ俺戻るけど一人で理科実験室まで行けるか?」


『はい、大丈夫で…え、なんで私が理科実験室行くってわかったんですか?』


「あぁ…、だってあの階には3年の教室以外に理科実験室しかないからな。」


『そうですか…』


「じゃあ、俺行くな」



あ、今なら“おめでとう”って言えるんじゃない…?むしろ今しかないよね…!!



『あのっ…!!』


「ん?どうした?」


『あの…先輩、今日お誕生日ですよね。お誕生日おめでとうございます…!!』


「…!!ありがとう…嬉しいよ」


ニコニコしながら嬉しいとか言われると、こっちのほうが嬉しい気持ちになる。
ああ、言えてよかったな……







END




(蘭ちゃんのお誕生日、教えてもらってもいいかい?)

(え?)

(俺も、蘭ちゃんに“おめでとう”って言いたいから…)




 
――――

南部長、お誕生日おめでとうございました^^



 

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