ポケモン
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「グランマ、皆。しばらく会えなくなると思うけど、元気でね」
一人の少女が協会らしき建物の門の前で立ち止まり、振り向き様にそう告げる。
「チヅルお姉ちゃん〜、行っちゃやだぁ〜」
泣きじゃくる子供達をなだめるように抱きしめ、チヅルはグランマと呼ばれるお婆さんと目を合わせる。
「グランマ、私をここまで育ててくれてありがとう。この恩返しは、チャンピオンになってから返すね」
「無理しなくていいんだよ。チヅルの人生はチヅルが決めるんだから。私達の為に体張らなくてもいいんだよ」
「ううん、私がこうしたいの、私が…決めた道だから」
チヅルは少しだけ俯く。子供たちの笑顔に元気をもらい、またグランマの方へ向く。
「…そうかい、あんたが決めたなら、あたしゃ文句は言えないねぇ〜。さ、行ってらっしゃい、オーキド博士が待ってるよ」
「うん、行ってきます」
子供達を離すと、前を向いて歩き出した。
聞こえてくる子供達の泣き声、応援してくれる声。
振り返りたかったけど、振り返ったら、足がすくみそうな気がして、できなかった。
約束の時間十分前、チヅルは駆け足でオーキド博士の研究所へ向かう。
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