ポケモン

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《トキワシティ》

「随分戦ったね、大丈夫? フシギダネ?」
少し息の上がったフシギダネを連れてポケモンセンターへ。
さっきまで野生のポケモンと戦闘をしてかなり鍛えたので疲れ切っているフシギダネ。
ジョーイさんに見てもらい、フシギダネはすぐに元気になった。
しかし元気になったからといってこれ以上は戦わせる訳にはいかない。

「少し散歩しようか」
フシギダネを抱えて、チヅルはトキワの隣、22番道路へ足を運ぶ。









《22番道路》

確かこの道を真っ直ぐ行けばセキエイ高原がある…と聞いたことがある。
カントーのジムバッジを全て集めた者のみ進めると…誰かが言っていたような気がする。

「ねぇ…フシギダネ」
高い施設がここからも見える。
チヅルはその施設に視線を向けながら、フシギダネに問いかける。

「私…チャンピオンになれるかな?」

「ムリじゃねぇか?」
頭上から声がした。
チヅルが顔を上げると、太陽の逆光を浴びて悠々と崖に立っているユウタの姿だった。

「私はユウくんじゃなくてフシギダネに聞いてるんだけどね」

「どーでもいいだろそんな事。それよりもチヅル、図鑑は埋まったのか?」

「少し埋まってきたよ」

「ふ〜ん。じゃあ俺とバトルだ!」
崖から飛び降りて、ユウタがチヅルにバトルを申し込むが、

「ダメ、フシギダネはお休み中なの」
キッパリと断るチヅル。

「……そうかよ。じゃあここにいるって事はあれか、四天王に挑戦しに来たのか?」

「違うよ、散歩に来ただけ」

「お前マイペース過ぎるんだよ、もっとペースを早くして俺に追いつけよ!」

「うん、分かった。努力するね」

「唐突だけど…お前に聞きたい事がある」
急に真面目な顔になるユウタ。

「なに?」

「どうして図鑑所有者試験を受けたんだ、勉強嫌いでのんびり屋のお前が珍しい…」

「私は…お世話になったグランマにチャンピオンになって色々恩返しがしたいの…」

「本当にそれだけか?」


「うん…それだけ」
間を置いてチヅルが真っ直ぐユウタの瞳を見つめた。


「いずれ…時が来たら、俺に包み隠さず言えよ」
ハット帽越しに頭をポンポンと叩いて、ユウタはトキワの方角へ去って行った。



「何だか…ユウタくんには嘘付けないや」
フシギダネがチヅルの腕を飛び降りて、道ばたに咲いていた名も無き花に戯れる。





「さ、行こっかフシギダネ」
チヅルがフシギダネに呼びかけると、物惜しそうに花を横目に、チヅルの後を追いかける。

「ニビシティでのジム戦があるから、沢山修行しようね、フシギダネ」
フシギダネが「フッシ!」と強く頷いた。











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