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□06 それは夢であってほしい
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「…ゲロ……?」
気がつけば我輩は、何にもない部屋でポツンと一人突っ立っていた。
あれ〜おかしいなぁ…我輩、昨日はちゃんとベッドで寝たのに…!何故制服を着ている!!
……………………
嗚呼そうか、夢か。そうだよね〜おかしいよね〜。
どこも明かりがついていないところに我輩がいる訳………。
「ないよねぇ!!!」
出来るだけ大声を出してみた。やっぱりいるのは我輩だけで、声が教室に響く。
ねずみどころか、ゴキブリさえも出てこない。
「…あ゛〜〜!!もう!誰でもいいから出てきてほしいであります!!!」
冗談のつもりだったその言葉。…はず。
「わっ」
乾いた靴の音がした。しかも背後から。
「あれ?私、何でここにいるの?さっきまできりかぶに座って、本を読んでたのに?」
頭に疑問符を並べた…いや、うさぎの耳を生やした少女が首を傾げる。
灰色のカッターシャツに青いボータイ。赤に近い桃色のスカート。
紺色のハイソックスに茶色の靴。
そして、頭に生えたレモン色に近い黄色のうさぎ耳。
目は赤ではなく、薄い紫。
……あはは、これも夢?
にしちゃリアルすぎる。こんな夜にクルルが好きそうなオタク向けうさぎがいるはずない。
そうだ、夢だ夢!!ほっぺたつねっても痛くないし!
それだったら早く覚めてほし……
「ねぇ、ココはどこなの?あなたは誰なの?」
さらりとした水色の髪と、薄い紫色のうさぎ少女は我輩に問い掛ける。