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□09 手をのばせばとどくきょり
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お気に入りの時計を持って、メルヘンチックで現実にはない場所へと向かう。
普通の人間が長時間ここにいると、その人の存在が消えてしまう。

けれど、私はそんなお決まりは関係ない。
だって私は、ここで産まれたから。
だからこそ、現実世界に行く事のできない存在だから。







てをのばせばとどききょり








昨日は緑色の人を、この世界から現実世界へと帰しました。
名前は聞くのを忘れたから、見た目からとって「緑の人」と言っています。

あの人、面白いからもう一度会いたいな、そうしたら名前…聞けるのに。

何時もの様に、変な柄をした大きなきのこに腰掛けて、読みかけの赤い本を開いた。
パラパラとページをめくって、前に呼んでいたところの続きを探す。

本を呼んでいても、あの「緑色の人」を思い出してしまう。


えーいやめっ!本を読むのやめろ、私!!!


そう自分で自分に言って、パタンと本を閉じた。
ゴロン、ときのこに横たわる。
溜息一つ。
また起き上がる。

愚痴に似た独り言を呟いて、その言葉を綺麗な花にしたり、鮮やかな色の蝶にしたりする。
そんな魔法に似たことが出来るのは、この世界が現実じゃない、空想の世界だから。

けれどそれも、ちゃんとコントロールしなければ、真っ白な意味を持たないものになってしまう。

今日の私は、青とか紫とかそんな黒めの色にしたかったのに、出てきた色は薄い水色の亜麻色の蝶。


あれれ、おかしいな…きのうはちゃんと出来たのに。
こんな事をしていても、あの「緑の人」のことが頭から離れない。
これじゃあ私、この世界の゛案内人"失格だ。


私が失格になっても、私の変わりになる人はいくらでもいる。
でも交代してしまったら、あの「緑の人」に会えなくなってしまう。
それはちょっと…嫌かも。



その日から私はそればかり。
暇になるとぽわんと「緑の人」が現れる。
私以外の皆が眠りに着く夜、カラフルな星たちに願う。
って、こんなことしてる場合じゃない!
私は自分の仕事をしなきゃだめなの!

ふるふると首を振って、自分に言い聞かせる。
こんな事をしていると、少し心がズキズキした。




あの人に、いつまた会えるのかな…






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話全然かけねー!!
ボロボロだー!(byリーフン

このお話の子は、この先ちょっと重要な感じになります。多分。(ぇ
↑描喜

2009/9/23/水

 

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