お題

□●[ホルイル]
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はあぁ〜……。

盛大な溜め息を吐きながら自室のベッドにうつ伏せで寝転がるホルマジオは、昨日からこの調子だった。正確には昨日の夕方から。

「ホルマジオ、しょうがないよ。野良には野良の生き方があるんだって」
「んなこと言ってもよぉ〜……。ちくしょー今度こそ懐くと思ったのに……」

原因は、二週間前に拾った野良猫が部屋を逃げ出したこと。それもホルマジオの目の前で。

「でも怪我してるところを連れ帰って手当てしてやったんだろ?偉いじゃないか。きっと猫も感謝してるよ」
「感謝した仕打ちがコレかよ……」

言いながらのそりと差し出された左手。そこにはくっきりとした赤い跡が3本、痛々しく残っていた。俺は思わず乾いた笑いをこぼしてしまう。ホルマジオは本当に、猫に嫌われる。

「なんでだろうなぁあ〜〜……。ちゃんとエサやってるし、虐めてねえし、遊んでやってるのによォ……」
「こればっかりはどうしようもないよ。何にもしてなくても動物に嫌われる人ってたまにいるらしいし」

言うと、ホルマジオは余計に落ち込んでしまった。まずい。慰めのつもりが逆効果だった。
慌てて広い背中を撫でてごめん、と言うと、ぜんぜん大丈夫じゃなさそうな声で「大丈夫だ……」と返ってきた。重傷だ。

「今回は逃げられたけどさあ、きっとそのうちホルマジオを好きになってくれる猫が現れるよ」
「そうだといいんだけどよ〜……」
「それまでは俺で我慢してよ。俺ならずっとホルマジオのこと……その、好きだからさ」

言うと、ホルマジオはちらりと視線をよこして、ベッドに顎を乗せてペタリと座り込む俺の頭を、猫にするようにグリグリと撫でた。

「そりゃお前は可愛いけどよぉ〜〜〜……、猫はまた違う可愛さを持ってるっつうか……別腹みたいなもんなんだよォ〜〜」

そして再び枕に顔を埋める。せっかく恥ずかしさをこらえて言ったのにあまり効果はなかったようだ。これでダメならもう俺には打つ手がなかった。今ホルマジオを慰められるのは、彼が愛する猫だけなのだ。この時ほど猫になりたいと思ったことはない。

猫、猫……。思いながらだらりと垂らされたホルマジオの手を見る。俺ならホルマジオを引っ掻くなんてしないのになあ……。俺ならむしろ……。

考えて、そっと手をとる。傷口に触れないように周りを撫でてから、痛々しいミミズ腫れをペロ、と舐めた。驚いてこちらを見たホルマジオに向かって一言。

「……にゃあ」

猫のように小首を傾げて言ってみた。

……言ってから思ったけど、これ、かなり恥ずかしいな。どんどん顔が熱くなってくるのがわかる。ホルマジオからも反応がないし。やっぱ寒かったかな。

馬鹿な自分に落ち込みかける。と。ホルマジオは急にガバリと起き上がり、ベッドの下にいた俺をすごい力で引っ張りあげた。
うわあ、と思う暇もなくベッドに寝ころばされてギュウギュウと抱きしめられる。俺の頭や背中をペットのようにわしゃわしゃと撫でるホルマジオは、なぜかとても嬉しそうだ。

なんだかよくわからないけど元気になってくれたらしい。よかったよかった。撫でられてる背中がかなり痛くなってきたけどまあいいや。俺はもう一度、にゃあと鳴いた。




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マジオが嫌われる原因は構いすぎだと思う。あと撫で方がしつこい。

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