作品
□前半
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【1 あなたの名前を教えてください】
「ホルマジオだ。よろしく」
「イルーゾォ。下世話な質問は許可しないからそのつもりで」
【2 年齢は?】
「見たまんま。ご想像にお任せしますよっと」
「いきなりずるい答えだな」
「へへへ、いいじゃあねえの。だって百問もあるんだぜ? ところどころテキトーにやっとかねえと最後まで保たねーって」
「……テキトーにやっていいもんなのか? これは……」
「いーのいーの。で、歳の話な。まー最近はそうでもねえんだけど、昔は年齢より上に見られることが多かったな。ひでー時にはハタチの時にオッサンとか言われた。……なんだろうなあ、俺ってそんな老けてるか?」
「落ち着いてるんだろ、雰囲気が。ほら、ホルマジオって二十代に入った辺りから急に身の回りが落ち着いただろ? 女関係とか全部清算してさ。身持ちが良くなったっていうか。それまで随分とチャラついてたのに」
「いやー、だってよ、その頃に出逢っちまったんだもん、真の愛に。なー、イルーゾォ!」
「真の愛はともかくとして、ガツガツしたところが無くなったから若く見られなくなったんだろきっと。で、今はようやく内面に年齢が追いついたところ」
「…………俺の告白サラっと流さないでくれる?」
「俺は……初めはホルマジオと同じく上に見られるんだけど、なんでか喋っちまうとダメだ。ボロが出るのか? 一度話すと年より下に見られちまう。……俺ってそんな馬鹿っぽいのか……?」
「違う違う、フツーにしてっと印象がキツいんだよお前の場合。猫目ってのか? パチっとしてて大きいんだが吊り目がちだろ? で、なおかつ見下す感じで顎を上げるクセがあるもんだから高飛車に見える。近寄りがたい雰囲気があるんだよなあ。でも話してみるとよ、年相応に焦ったり照れたり笑ったりすんじゃん。そういうギャップがあるからかえって若く見られんじゃあねえの?」
「……そうかな」
「そうそう。たまんねえのよ、そのギャップ。俺もそれにやられたもん。そっけないフリしてホントはすげー優しかったり。そういうとこ大好き」
「……な、なんだよ……、いきなりそういう事言うのは許可しないィ……っ」
「ヒヒヒ! これこれ、この照れ方が可愛いのなんのって!」」
【3 性別は?】
「男」
「俺も」
「俺らのチームは全員男だな。暗殺なんざ女のやる仕事じゃあねえ」
「他の組織にはいるって聞くけどな。少なくとも俺たちの組織には女暗殺者は存在しない」
「良いことだと思うぜ。女は泥すすって生きるより太陽の下で笑ってたほうがよっぽどいい」
「それなりに過酷な仕事だからな。俺もそれには同意する。メローネなんかは『女って生き物は男以上に信用できないから臆病者のボスは側に置きたがらないのさ』なんて言うけど」
「あいつはマジに女嫌いだからなぁあ〜、しょうがねえなあ〜」
【4 貴方の性格は?】
「簡単に言うと大ざっぱだな。いや、大ざっぱにならざるをえないっつーのか? 基本的に面倒くさがりなんだよ。細かいことなんざ気にしてられねー」
「嘘だろ、面倒くさがりだなんて。よく人の世話焼いてるじゃあないか」
「そりゃあもうクセみてえなもんだよ。もうずいぶん昔になるが、しばらく孤児院に世話になってたことがあってよ。物心ついたときから周りにはガキばっかいたんだ。性根に刷り込まれてんだろうなあ、なんか困ってりゃあついつい助けてやりたくなっちまうんだ。頼りにされんのとか、必要とされんのがすげえ好きだし常に周りに誰かがいねえと落ち着かねえ。だから世話は焼く。だが意見を真っ向からぶつけたりするのは苦手だなァ、討論だとか喧嘩だとかって体力使うだろ? 反論するのがもう面倒くせえ。多少のことなら自分から折れる」
「それでできた口癖が『しょうがねえ』?」
「そういうこと」
「ふうん。……俺は逆に神経質って言われる。小さなことでいつまでも悩んだり、嫌なことがあるとずっと覚えてたり」
「あーわかるぜ。道歩いててさ、『この家の前は通りたくない。一年前に飼ってる犬に吠えられた』とか言うもんなあ。神経質っつーか、記憶力がいいのか? 頭が良いんだよこいつは」
「良くはないよ。悪いことばっかり覚えてるだけ。忘れられないんだ。だから根暗だとか陰気だとかってよく言われる」
「確かに明るくはねえが、根暗ってほどでもねえよ、お前は。よく喋るし、表情もころころ変わるじゃん。笑ったときとかさ、邪気がなくてすげえ可愛い」
【5 相手の性格は?】
「優しいよ、ホルマジオは。自分じゃあ面倒くさがりだとか言ってるけど、それを理由に他人をないがしろにしてる所なんて見たことがない。結局はしょうがねえなあで全部済ましちまうんだ。俺もさ、たまにどうしようもないくらい落ち込むことがあるんだけど、そういうとき、どんな暗いこと言っても側にいてくれる。面倒がらずにさ、俺の良いところとか好きなところとかたくさん言って励ましてくれる」
「そりゃあ、そんだけお前のことが好きだからなあ」
「……今みたいに好きっていっぱい言ってくれる」
「…………しょうがねえなあ〜、照れんじゃあねえかよ」
「ああ、でも、自分でも言ってたけど、あんまり意見をぶつけたりしない。自分より他人の感情を優先して考えているふしがある。自衛の一種だろうな。なんていうか、人に嫌われるのが何よりキライみたいだ」
「…………」
「もちろん仕事柄、恨まれることも多いけどさ。上手く立ち回るし話も面白いから普通の人には好かれるよ。すごく知り合いが多い。でもあんまり深くは付き合おうとしていない感じがする。メンバー以外の人間にバールとかに誘われてもさ、なんだかんだで断ってたり。その点では『面倒くさがり』って言葉は当てはまるかもな」
「…………驚いた。お前、案外俺のこと観察してんのな」
「してるよ。自然に目に入るんだ。好きだからかな。ずっと見てても飽きないよ、ホルマジオのことは」
「……イルーゾォはこの通り、たまにすげえ事さらっと言ってくるな。普段は恥ずかしがったりしてあんまり言わねえのにさ。根っこの部分が男らしいんだろうなァ。決めるときは決めるんだよ。ま、それ以上に可愛い部分も多いけどよ」
「か、…………可愛いって言うなよ……」
「おーおー、そうやってすぐ照れるところも可愛いぜー? ……ああそう、それとさ、すげえ自信家なんだよこいつは。んで面白いのが、なおかつ弱気なところ。自分に自信があるはずなのに自分に自信がねえんだよ。矛盾してんだろ?」
「なんだよそれ……。俺そんな変な性格してないよ……」
「してるしてる。まあ、スタンドを『自分自身』と捉えたらの話なんだがよ。お前、自分のスタンドをどう思う?」
「強いよ、マン・イン・ザ・ミラーは。こいつさえいれば、安全な鏡の中で俺は無敵にふるまえる」
「それだよそれ。無敵に『ふるまえる』ってとこ。自分のスタンドの強さは認めてんのにさ、心のどっかでは自分のこと卑下してんだ。だから"俺は無敵だ"って言い切れねえ。そういう"弱さ"や"脆さ"はある」
「うぅ……」
「でもまあ、ただのうぬぼれ屋よりはよっぽどいいよ。俺らの仕事は一秒先に何が起こるかわからねえからな。自分の"弱さ"を理解してるやつじゃあねえと生き残れねえ。そういう意味でもやっぱりお前、頭いいよ。自分のこと、ちゃあんと客観的に見れてる」
【6 二人の出会いはいつ? どこで?】
「俺が二十、イルーゾォが十七のときだっけか? 事務所の……ああ、今のアジトの事じゃあなくてよ、全員がバラバラに住んでたときの溜まり場みてえなところでさ、運命の出会いを果たしたわけよ」
「なに馬鹿言ってんだよ……普通に会っただけだろ」
「あれが普通? 俺、初対面で鏡に引きずり込まれたんだぜ?」
「う"……」
「最初の頃なんてさ、すっげえ嫌われてたよなあ、俺。お前に。基本はシカトだったしよ」
「ご、……ごめん」
「まぁ、あの頃は組織もできたてでガタガタしてたし、お前はお前で色々あったんだもんなあ。気ィ張ってたんだよ。今はもうこうしてべったりくっ付いてくれるし、気にしてねえ」
【7 相手の第一印象は?】
「いやあ、そりゃもう『危険なヤツ』としか思えなかったよなァ〜〜、だって挨拶より先にスタンド攻撃だぜ? それも当時いたチーム全員に同じことをしてたんだと。それぞれの実力を測ってたんだろうな。プライド高いし自信家だしクールだし、近寄りがたい空気はあったよ。……ああ、あとすげえ毒舌だとも思ったな。なんてったって俺のスタンドを始めに『くだらない』っつったのはこいつなんだぜ?」
「そんなこと言ったかな……」
「言った言った。そりゃあお前のスタンドに比べたらくだらねー能力を持ってるかもしれねえけどよ、俺のリトル・フィートは。なんてったって鏡に引きずり込まれて反撃の一つもできなかった」
「ああ、そうだったな。それで俺はホルマジオに『すごく弱い人間』だって印象を持ったんだ。この世界ではそんなヤツ、すぐ死んじまうだろ? だから冷たくしてたんだと思う。なのにそんなの気にしないでいっつもヘラヘラ話しかけてくるしチャラいし、……だからちょっと苦手だったかな」
「あー……、まあ、確かにチャラかったっちゃあチャラかったよなあ。いやー、チンピラやってたときの感覚が抜けなくてよォー」
「真面目にしててくれればよかったんだよ、中身はまともなんだから」
「確かにそうすりゃあよかったなあ。俺がちゃらんぽらんなもんだからよ、ちゃんと向かい合って話してくれるようになるまでずいぶんと時間がかかったもんな。まあ、でも、今思えばクールなのも傲慢だったのも"そう見せてた"だけだったんだよなあ。こいつはこいつなりにナメられないように必死だったんだよ。このチームに来るまでにいくつかチームたらい回しにされてたみてぇで、そこで色々あったんだと。それでなくても当時は今以上に細いし小さいしでよ、まー確かにあの体格でギャングの一員として過ごすってんなら、あれくらい強烈な性格じゃなきゃあやってけねえよなあ?」
「ホルマジオは今とあんまり変わらなかったよなあ、体格。ちょっと羨ましかった。なに食ったらそんな風になれるんだよ」
「やっぱ肉かあ〜?」
「肉なら俺もちゃんと食ってた……」
「なら量の問題だな。お前は食も細かったからさ」
【8 相手のどんなところが好き?】
「いやあ〜!そりゃあもちろんからd」
「なっ……!セクハラは許可しない!」
「っと!冗談!冗談じゃあねえかしょうがねえなあ〜〜〜ッ!」
「しょうがなくないッ!」
「へいへい、悪かったって。……こーやってムキになるところなんかは可愛くて好きだなあ。なんつーかイルーゾォは真面目でよォ。仕事に対してはもちろんなんだが、普段もなかなかのもんだぜ。家電とかのさ、ブ厚い説明書とかあんだろ? ああいうの初めに全部読むタイプ」
「ええ……? みんな普通読むだろ?」
「読まねーって! ああいうのは普通カンで使うもんなの! ……まあそんな感じでよ、根が真面目なもんだからあんまりくだらねー冗談なんかは通じねえ。本気で怒ったり心配したりするよ。そんだけきちんと真っ正面から人の話を聞いてるってことなんだろうなあ。俺の言葉も、一緒にいる時間も大切にしてくれる。だから話してて楽しいし、落ち着く」
「……俺もホルマジオといると落ち着くよ。安心する」
「マジで? そりゃあ嬉しいなァ! ……で? お前は俺のどんなところが好きなわけ?」
「んー、やっぱりさ、優しいところかなあ。ホルマジオは絶対に俺のこと馬鹿にしないんだ。悪く言わない。俺、自分とか人の悪いところばっかり目についちまうし、悪いことばっかり考えちまうんだけど、そういうの全部知ってるからかな。逆に、良いところとか好きなところ、教えてくれる。人を褒めるのが上手なんだよ。そういうところは尊敬するし、すごく好き」