※東京ディズ●ーリゾートで同性カップルも結婚式が挙げられるらしいです(ただし人前式のみ)
ディ●ニーもサン●オも別に好きではなくヒトから好きなキャラを問われれば彼女の妹が好きだったらしいセサ●ストリートのキャラを挙げていた坂内が、いきなり叫ぶようにして言った
「ディズ●ーランドに行こう!!」
定番だがデートにいいと思って軽く、おういいなと返事をした自分にちょっと待てと制止を掛けたい
坂内のいきなりはもう慣れていたが、そこは何故なのか聞いておくべきだっただろう
遅くとも坂内が貯まった貯金を確認し出し、宝石店の広告を見始めたあたりで異変に気付くべきだった
にも関わらず
俺がやっとそれに気付いたのは、
ゼクシ●を眺める坂内が泣きそうな顔をした時である
「坂内」
こっちを見た坂内はふわりと笑顔を作り
「ちとせちゃんも見る?」
と寄って来た
ゼク●ィだ
何処からどうみても、結婚情報誌
俺は結構、ショックを受けた
「坂内、結婚すんのか?」
ショックなのは俺の方なのに坂内は笑顔を引きつらせ
え、と呟く
「しないの…?」
あ、俺発言間違った、とここで気が付いた
「坂内と俺がってこと?だよな?
するする、結婚、しようぜ」
こくこくと莫迦みたいに頷くと坂内はまたふにゃりと笑って寄り添って来た
俺はその身体に腕を回し抱き締める
「デ●ズニーランド、行こうね」
よくわからないが おう、と頷いた
俺が坂内のその言葉の意味を知るのはもっと後になる
しかしわかったところで結局、
結婚も出来ないし結婚式も挙げることなど出来ないのだ
俺も坂内も親に同性の恋人がいることは言っていない
二人共妹にも言っていないし
友人も、殆ど知らない
全くの他人にみせる勇気もない
マイノリティ
差別されるのは目に見えている
坂内もそのことはわかっている
ただ俺達のことが認められない世の中で同性カップルの結婚式が認められる場所があることに感極まったのだろう
あそこはアメリカ産だからだろうが、日本でもそういうところがあることが嬉しかったのだろう
嬉しかったのだ
俺だって
実は俺の棚の引き出しには、物が殆ど入っていないところが一つある
たった一枚の紙がクリアファイルの中で主張していることは、幸せだということ
保証人欄が真っ白なそれは、
夫に俺の名前、妻に彼女の名前が書いてある
ちなみに夫と妻が逆のものも書いた
それは坂内が持っている
俺と同じように、部屋の引き出しにあったのを勝手に拝見した
その二枚の紙切れを書いたのは、4月30日
俺の誕生日だ
いつか堂々と壁に飾ることを夢魅て、ゼクシ●を閉じた
そんな日はこない
わかっているが
坂内の幸せそうな顔を見ていると願わずにはいられない
†END†