友人宅で宅飲みなう
未成年だからって堅いことはナシだ
俺だってあんまり好んで飲もうとは思わないがみんなで集まるなら別だ
必要に応じて臨機応変に対応出来る柔軟な脳みそが大切だろ?そうだろ?
ってことで俺は酒に強い方だが
隣の可愛いおんなのこは完全に潰れてヒトんちのカーペットに頬を擦り付けている
といってもこいつが極端に酒に弱いというわけじゃない
あまり慣れていないくせにどうみたって早すぎるピッチでがばがば飲むからだ
どうやら酔いたくない俺とは反対に酔いたい性らしく、いきなり梅酒をロックでいこうとした時は流石に止めてリプトンで割ってやった
ばかだ
彼女は人肌恋しいのか今は俺の膝にすがっている
やめろ
腰に腕巻き付けるな、やめろ
でも強くは止められないんだなこれが
理由は、まぁ、言うまでもなく
友人三人、俺を入れて四人で飲んでいるのだが
一人がトイレに立ち
もう一人、この家の持ち主(正確には違う)が布団を用意すると別の部屋に消えた
この酔っ払いを俺に押し付ける気か
といってもべたべたくっついてくることを除けば煩く喚くわけでも泣き出すわけでもなく質の悪い酔い方ではない
くっついてくるのを除けば、だ
膝の上の、光りに反射すると茶色になる黒髪を撫でれば今までうにゅうにゅ言ってたのが、ばっと顔をあげた
酔って半分になった瞳が俺を見据える
もしかして睨まれてんのか?俺
違ったらしい
「いま、これ、ちゃんすだよね」
呂律の回らない唇でぼそりと意味のわからない言葉を発したこいつに
ん?と聞き返すことは出来なかった
唇が二回、くっついて離れた
「………」
「あたしは別に、酔うと きすま になるとかじゃなくてですね、」
もう一回くっついた
「わかる?」
わかんねぇよ、と言いたかったがなんとなくわかって仕舞った俺は多分今真っ赤でしにたい
「…みずのんでくる」
是非そうしてくれ
トイレ行ってた奴と布団敷いてくれてた奴の後にそいつが戻って来た頃には
俺も彼女も臨機応変に対応出来る柔軟な脳みそを持っていたためか普通に接することが出来ていた
なんだこれ?
×××
「お前さぁ、昔、キス魔じゃないとか言ってたよね」
「うにゅ、キス魔じゃないよ」
ちゅ、ちゅ、とバードキスを繰り返す
「ならなんであの時キスしたの?」
「したかったから?」
「キス魔じゃん」
「違うって」
おはようのちゅーを止めて彼女が俺の後ろに回る
毎朝俺の髪を束ねるのは彼女の仕事だ
「だってあの時、久しぶりに会ったらそれまで制服でしか見たことないスカートはいてるし、化粧とかしちゃってるしさ、私のときめきやばかった」
「あ、てめ、もしかしてわざと膝にくっついてたのかよ!?」
「酔ってたからこそだよ、生足の魅惑に購えなかったのは」
「わざとじゃんかよ…」
「可愛かったから思わずちゅーしちゃったけど後悔はしてないかな」
「はいはい」
「いくら美人でお洒落になっても変わらず俺とか言っちゃう中二口調も大好きだよ」
「悪かったな」
俺だって後悔してねぇよ
†END†