御話
□人形の夢と夜明け
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わたくしはいわゆる、看板娘という存在でした。
とある町にある、小さいけれど人気の人形やさん。
それがわたくしの、家でした。
リアルな人形から、可愛らしいぬいぐるみ。
おもちゃも置いてありましたから、どちらかと言うとおもちゃやさんなのかも知れません。
お昼前に開店して、大人から子供までがわくわくした顔でお店のドアを押し開けます。
軽やかなウィンドウチャイムが鳴ると、お客様が来た合図です。
ここに来る人は、皆さん幸せそうです。
優しくて素晴らしい家族。
優しくて幸せそうなお客様。
わたくしは、人間が大好きでした。