Dream

□口いっぱいに、この愛を。
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チャイムが鳴り周囲が、がやがやと騒々しくなる。

「ん"ー...」

朝起きた時から喉の調子が悪かった。
異物が喉の奥でうごめいているような気がして 気持ち悪い
声のひび割れはまだよくなったけど、いつもに増して低音ボイス。

「大丈夫かよ。風邪?」
「わかんない。風邪かなあ」

後ろの席の準太は相変わらず人の変化によく気付く

「気をつけろよー」
「んー」

飴があったはず、と鞄を引っ掻き回しても
飴はなく。
小さく舌打ちをする

「飴?あげようか?」
「さんきゅー」

準太のポケットから出てきたのはレモン味の飴で
準太が飴の包み紙を破る
いやいや それくらいできますから。
なんて思ってたら
ぽんって準太が自分の口に入れて。

「飴ちょーだいよー」

飴を口に入れたままにやにやと笑ってる
見惚れるくらいのきれいな顔で。

私の顎に準太のきれいな指が這う

「!…ん、」

キスされたと思ったら既に口いっぱいにレモン味が広がっていて。


口いっぱいに、この愛を。
(確信犯。)(わかってたわ。在り来りなやつ)

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