Dream

□無駄な時間に終止符を。
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「別れよう」
さらりと言う 私の言葉に驚きを隠せない利央を醒めた目で見つめる。まだ利央への想いを完全に絶つことが出来たわけではないが、それ以上に怒り、悲しみ、呆れ の感情の方が勝っていた。

「なんで」
「本当に理由がわからないの?」

本当にわからないなら馬鹿だね。馬鹿としか言いようがない。と言えば、利央は うっと言葉を詰まらせる。わからないはずがなかった。別れる理由にわたしの非は一切ないのだから。

「本当にごめんっ」
「聞きたくない。本当に悪いって思ってるならしないよね、普通」
「もう…もう絶対しないから」
「それ七回目だよ」

私が知ってる範囲ではね。と低い声で付け加える。利央は涙目で必死に訴えているその言葉さえ今の私には何一つ届かなかった。ねぇ誰だってうんざりするよ。七回目の浮気なんて。ごめん野球があって なんてデートを断っておいて、実は野球なんてなかったなんて。わたしとのデートを断るほど浮気したいなら、わたしは利央のなに?と言いたくなる。別に結婚しているわけではなく、ただ付き合ってるだけ。別れたって 親戚に恥をかかせるわけでもない。それなのにわたしと付き合うメリットはなに?ただみんなに俺こんなに彼女いるんだぜと自慢したいだけ?もしくは いい性処理の相手としか思ってないんじゃないの。と思う。

「ばいばい」

三回目が発覚した時から切り出したかった別れを今切り出せた。そんな達成感にも似た感情が胸の中を支配していて、清々しい気分となり、くるりと利央に背を向ける。


無駄な時間に終止符を。
(あなたにとって私は)(恋人だった?)

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