SSS
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短いよ。SSSの名に恥じない短さ!!
“どうして君はいなくなってしまったんだ!!”
初めて君の演じる劇を見た。
ネズミはいつものナイフの様な鋭利さがなく、ただ愛しい人の死に嘆く哀れな若者だった。
“君がいないこの世に意味なんてない”
悲痛な声が、痛ましい表情がこんなにも胸を締め付けてどうしようもなくなる。
目がそらせない。
瞬きの瞬間さえおしくて、ただ君を網膜に焼き付ける。
君は、ぼくがもし死んでしまったら。
そうしたらそんなにも君は愛しそうにぼくの名を呼んでくれるだろうか。
流れる涙の意味を、感動と置き換えて舞台の上で愛しそうに呼ばれる彼女への嫉妬をぼくは雫の中に隠した。
END.