SSS

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耳が聞こえない紫苑さん。ただシリアスいのが書きたかっただけでどこのどなた様状態。



予兆は耳鳴りとめまい。
それがぼくと世界を切り離す合図だった。

「……ん」


「………、ん」


「紫苑!!」
「え?あ、うわっ!!?」

自分が呼ばれる声に顔を上げると触れ合う程近くにネズミの顔があって思わず後ろへのけ反る。
そうしたら背もたれにしていた壁に強く頭をぶつけて結局は反動で元の場所に戻ってしまった。

「っ〜〜いったぁ‥」

涙目になりながらも痛みを少しでも和らげようと頭を擦る。
ネズミに呆れた顔をされるかと表情を窺えば予想に反して険しい顔で自分を見ていた。

「‥あんた、おれの声に気づかなかったのか?」
「え‥」
「ずっと紫苑って呼んでいたのにこんな近くまで来るまでわからなかったのか?」
「あ、の」
「それとも何かシカトでもされる様な事したのかよ」
「ち、ちが」


険を滲ませた声音に慌てる。
ずっと耳鳴りしか聞こえておらずまさか呼ばれていたなんて。
気づかなかった。
違う、「聞こえなかった」のだ。


いつからか耳鳴りとめまいが自分を襲う様になった。

最初は貧血の類いかと思っていたのだが度々襲う耳鳴りとめまいは回を重ねる毎に強くなっていきそれに伴い世界の音が自分からどんどんと離れていく事に気付いた。

「ネズミ、」
「何だよ」




呼んで、ぼくを。


「…紫苑?」


君がぼくを引きとめてて。


世界に、




君に、


to be?
















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