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イヌカシと力河とネズミと紫苑。
一度やってみたかった文体。
何だ犬っころのガキじゃないかこんな所で何してるんだ。
んぁ?おれは犬でもガキでも無いって?おれからしたらじゅうぶん汚い野良犬のガキだがな。
っ!?お、おいやめろよ、こっち向けんなそんな犬に咬まれたら痛い程度じゃ済まないじゃないか。
わかったわかった!訂正するからお前は可愛らしいお坊ちゃまだから。
おい!何で犬の態勢がさっきよりも低くて今にも飛びかかりそうなんだよ。
悪かった冗談だ、ジョークだ！大人こそユーモアをもって人と接しないと女にモテないぞ。
は?お前女に殺されそうになってフラれたじゃないかって…おい!!それ誰から聞いた!いや、言わなくて良い紫苑な筈は無いからな。
あいつだろうあの女狐め、くそ次に会った時はただじゃおかない。あいつと一緒にいたら絶対に紫苑へ悪い影響を及ぼすに決まっている。
とりあえず今日はおれは馴染みの店で飲む約束だからもう行くぞ。
あのいまいましいペテン師に会ったら「次に会ったら覚えてろ」って言っとけよ!!じゃあな!
イヌカシじゃないか何してるんだ。
‥何だよ、そんなあからさまに嫌がる事もないだろう。
おれのファンならおれに会えたら喜ぶのに。
こんなペテン師に会えて喜ぶのになんて可哀想とはずいぶんだな。
‥あ?思い出した?何を。
アル中のおっさんから?良い良い、言わなくてもろくな内容じゃないのなんかあの酒臭さと共に漂ってくる。
……。
………。
ほら、聞いた所で大した内容じゃないし。
しかも何だその捨て台詞。
三流の台詞に思わず泣けてくるぞ、しかも犬に負け犬の台詞を託すなんてアホの極みだな。
なるほどギャグなら失笑程度は観客から貰えるんじゃないか。
ところでこのおれに突き出しているこの手の意味は何だ。
は?伝言を伝えた駄賃だ?何でおれが。
そんなの紫苑にでも貰えよおれはこれから仕事なんだよ。
どうせお前の目当ては最初からあいつだろ。
おっと。
怖いな、図星だからって突っかかるなよ。
じゃあな。
やあ、おはようイヌカシ。
‥どうしたの?難しい顔をしてるけど何かあった?
え?あぁ、ネズミに会ったんだ。
また何か言われたの?ネズミも人をからかうのが好きだからね。
ぼくも毎日からかわれて良いように遊ばれちゃってるよ。
え?力河さんがぼくの行く末を心配してるって?
あはは。そんな、大げさだよ。
あ!そうだ、これイヌカシにあげようと思って持って来たんだ。
はい。
カランに教えて貰ったんだよ。
あぁ、カランっていうのは西ブロックで一番最初になった友達で……ん?
何って犬だよ、折り紙の。
可愛いよね、イヌカシみたいで。
…あれ?大丈夫?もしかして具合でも悪いの?最近寒いから熱とか。
だって顔が赤いし‥。
そ、そう?無理は駄目だよ。
うん。そうだねそろそろ行こうか。
今日は天気も良いから犬達を洗ってあげるにはちょうど良いね。
「…紫苑‥」
「うん?」
「………ありがと」
「うん。どういたしまして、イヌカシ」
END
我が家のイヌと紫の場合紫苑は高確率でタラシです。