SSS

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ただのパラレル。味覚は全くの妄想です。


「だいたい君おかしいでしょ!どうして卵焼きは砂糖を入れて甘くする癖に目玉焼きは一味唐辛子なんだよ」

紫苑はバンっ!といつもの本人の挙動より幾分も荒々しい音を立てて机を叩いた。
対してテーブルを挟んで向かいに座るネズミは灰色の瞳に険を孕んで紫苑を睨め付ける。
その圧力に一瞬たじろぐがしかし紫苑だってこの大切な一味を譲れないのだ。

「昨日だってぼくが卵焼きを塩味にしたら君不機嫌になるし」
「おれは卵焼きは砂糖って決めてるんだよ!卵焼きイコール甘いの図式がおれの中には出来てるんだ」
「じゃあ百歩でも千歩でも譲ってそれは良いけど何で目玉焼きは一味唐辛子なのさ、意味わからないよ甘党なのか辛党なのかはっきりしなよ!」
「別に卵焼きは甘口で目玉焼きは辛口で良いだろ!」
「同じ卵料理じゃないか!!」

「全然違うだろう!お前鶏と料理人に謝れ!それだったらお前も十分におかしいだろうが」
「な!?何がさ!何がおかしいんだよ説明してくれ」
「そもそも目玉焼きにケチャップってお前は子どもか!いくつだよ」
「16だよ!うちはずっとケチャップをかけていたんだから良いじゃないか」
「16がケチャップで目玉焼きに顔を書くな!しかもウインナーを口にするってどんだけお子様なんだお坊ちゃん通り越してるだろ」
「お坊ちゃんなんて揶揄するのは君だけだ!!だって出来るからしてるだけだし良いだろ別に!!」
「しかも変に上手いから腹立つんだよ!」
「意味分からない所で腹をたてないでよ」

「「あーもう!!!埒があかない」」

「ちょっと!」
「おい!」


「「イヌカシは目玉焼きに何をかける!!?」」



「うっせぇおれを巻き込むなバカップル」


そう言って自分の分の目玉焼きに醤油をかけて食べたのだった。



END


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