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月夜
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そういえば、随分と昔に空に浮かぶ月を欲して手を伸ばした事があった。
幼い頃の話だ。
今、思えば滑稽だったと思う。
解っている。
手が届かない事など、とうに理解している。
――『お月様とって。』
知っているのに…。
――『お月様が欲しい。』
あんたを欲しい、欲しいと渇望する。
けれど―…。
満ちては欠ける月はいずれ居なくなってしまうのだから――…。
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