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酸欠に目眩
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「なぁ、シよう?紫苑」


その言葉から始まった甘美な時間。


何も纏わない身体をベットに腰掛けさせ、紅い蛇の巻き付く左足を恭しくとり小さな音を立てて口づけを落とす。
紫苑の足は男のくせに細く色が白い。
力を込めたら折れてしまいそうだと何度言った事だろう。

――もし、もし、この足を鎖で繋げば紫苑、あんたは俺から離れないだろうか。


今度はその足に軽く歯を立てる。

――この足を‥。

力を込めれば痛かったらしく頭上から紫苑が止めてと静止する。
口を離せば自分が付けた歯形がくっきりと残っていた。
良く見ればほんの少し血が滲んでいるようだ。
その事におれは満足して慰める様に歯形を舐めあげ、足に舌を這わす。


下を向いているから紫苑は気づかないだろうけど今のおれはさぞ満足そうな顔をしてるだろう。

おれが、紫苑に、付けた。
所有の印を。

それが嬉しい。


くすぐったいのか、そうじゃないのかしきりに足を震わせる。
くるぶし、ふくらはぎ、太もも、紅い蛇をなぞる様に舐めれば紫苑の息をつめる音がどんどんと荒くなっていく。



くすり。
と、蕩けきった表情の紫苑に笑ってもうこんなになっていると紫苑の雄を指し示せば赤い顔が更に赤くなる。


――なぁ紫苑。
あんたはどうしたらおれから離れない?

――どうしたら自分に繋ぎ止めておける?


ネズミ、と偽りの名前が呼ばれ引き寄せられてキスをされる。
相も変わらず拙いソレ。
本当に、このお坊ちゃんはと内心呆れてしまう。
違うだろう?と言って自分から再びキスをする。

深く深く舌を絡めて呼吸なんか出来ない程に。


――いっそ殺してあんたという全てを繋ぎ止めてしまおうか。

ひくりと紫苑の喉が動いた。
苦しいのか紫苑がおれの肩を強く叩く。
仕方なく名残惜しく唇を離す。
長いキスから解放された紫苑は大きく肩で息をしている。


――‥あぁ。そんな事など出来る筈がない。
ひたすら欲したあんたにどうしてそんな事出来るだろうか。


苦しいじゃないかと紫苑は涙目で怒鳴るが迫力に著しく欠けている。
苦笑混じりに謝るがお姫様は機嫌を損ねてしまいムッとした表情を崩さない。


そんな時に囁くは魔法の言葉。

真面目な顔をして、心から、

「ごめん紫苑。愛してる」

と言えば。
ほら。
しょうがないなと許してくれた。

そうだ。
この行為も愛故。
だから紫苑に依存するのも愛故に。


だから、おれはあんたを快楽で繋ぐ。
逃がさない。
ひたすらに欲したんだ。
そんなあんたを放してやらない。






快楽の時間はまだ終わらない。


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