目の前の光景が、何か、違うものに思えた。

リアルじゃない。

――信じられない。











空―The Sky―。












脇腹からは大量の血が流れ出ていた。

どろりとした感触が、生暖かかった。

何故か、痛いわけでもないのに、役にも立たない涙が零れた。














苦しかった。


君の心が、悲しみに満ち溢れて。










「な…、に……?」

口を開くと同時に吐き出る大量の血が口内を犯す。









視線を向けた先にいたのは、やっぱり君で。

眸は、まだ凍てついたまま。

「裏切るなんテ。汝が、裏切るなんテ。」

機械のように君は言葉を紡ぐ。







「汝を、信じて、いたのニ。」






血まみれの手が、カタカタと震えていた。

すまない、君にこんな事をさせてしまって。

言い訳は出来ないけど、でも私は、君を裏切った事など一度もなかった。







すまない、
トヴァラシュ…。







雨のように眸からは涙があふれ出てくる。

とても悲しくなる。



君を残していく事に。











こんなに泣いても、涙は止まらない。











君を裏切りたくなかった。


君の傍で、君を、守りたかった。







立っていられなく、膝をついた。

次々と溢れ出てくる涙が、視界を邪魔して、君の顔が見えなくなる。

何時の間にか、抑え切れない嗚咽を吐き出しながら泣いていた。








先に逝く事を許してくれ。







いつでも君を、守りたかった。

一生涯この身を君にささげると誓った。








でも、もう。。。













なぁ、トヴァラシュ。


あの日、二人で眺めた海は何色だった?

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