離れても共に

□暗雲
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「同じ名前で紛らわしいなぁ──ちっちゃい名無しさんでどう?」
「ハートレスにしてあげようか?」


ぶさけ方がやや物騒だが、無事に戻った一同にイェン・シッドは頷いた。









「貴方があの時の……大きくなって」

キーブレードを返した相手を見つめる。

同じ名前だが雰囲気は随分と相手の方が大人びていて、かつての戦いを想った

「貴女のおかげで、今の私があります──あ、そうだ」


胸に下げていた石を取り出す。


「これ、返さないと。お守りで持ってて」

彼女は首を振る

「ずっと持っていてくれたんだね。じゃあ、そのままお守りとして持っていて。私は片方あるから」
「いいんですか? 大切なものでは」
「大切だからこそ……貴方にね」


彼女は優しく笑った。










──仲間の回帰を経て



「へぇ、 イェンツォ達もあの人と会ったことがあるんだ」


懐かしい話に花が咲く。

「ええ──本当は、貴方が私の前に立ってくれた時に後ろ姿が重なり、思い出しました」
「あ、キーブレードが出てきた時?もう返しちゃったから無いけど」

シーソルトアイスを二人で食べる。変わらず甘しょっぱくてよく分からない味だが、ついつい食べてしまうのも変わらず。

そこへ、ぽんと…頭に手がのる。

「あいつは一時期ここへいたからな」
「ここに?」
「ああ。気付いたら、すぐにいなくなっていたがな」

ディランだった。エレウスも一緒に戻ってきて頷く。

大きな体を見上げた。

「そりゃびっくりだ。私もあの人に出会ったから外の世界に関心を持った──繋がってたんだね」

アイスをかりっと噛むと細かい氷が飛び交った。

「そうですね。思い返せば、彼女の訪れが全ての始まりだったのかもしれません」
「時期としては、丁度ゼアノートが現れたくらいだしな」
「……そうか」


自身の知らない昔を忍んだ。
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