離れても共に
□狭間
1ページ/2ページ
「本体では、はじめまして──マスター・ゼアノート」
したたかな目付き
人を蔑み、評価するような視線……
それを受けても、好戦的な姿勢は崩さない。
「ハートレスとノーバディになりながら、自身で融合を果たした存在か」
「そう、残念ながら私はもう人間であり、貴方がたに力を貸すつもりは毛頭ありません」
「ふん──必要ならまた引き裂けばよい。それにキーブレードを使えるなら、闇にも光にも属せる。使い道はいくらでもある」
ニヤリと笑う姿に嫌悪
「ごゆるりとされよ」
それでも最後まで表情を崩さなかった。
「なっつかしい〜!」
城の一角……かつて自分自身が使用していた部屋と、黒いコートを宛がわれた
「牢じゃなくていいの?」
「今の君では、到底逃げられないであろう」
「それはどういう意味だ。闇の回廊が使えないからか」
ゼムナスは不敵に笑った。
しかし少しすると表情を崩し、彼女の髪を撫でる。
「やはり、ノーバディであった頃と少し、感覚が違うようだな」
「皆に言われるよ、ゼムナス」
そう──かつてこの存在と共に過ごした頃は、心無き身体のみ。
そして戦い、消滅し……
「──また、会えたのに」
ぽそりと呟く名無しさん
「……早く出ていけ」
ここは闇の力が強い。ともかく昔の服装に着替えようと髪にのびた手から逃れた。