離れても共に

□一緒に
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この狭間の世界に朝はこない──いつか誰かと話した。

それでも眠りから覚めて、窓から差し込む気持ちばかりの光に時間だと起き上がる。


……上半身だけを起こすと、束ねていない髪が前へと鬱陶しくも垂れてきた。

この体にも随分馴染んだものだ、当初の姿は今ではもう遠い記憶。


……そんなことを思い出していると、隣で布が擦れる音。


──気持ち良さそうに寝やがって。


隣でまだ眠る彼女を見ると……複雑な気持ちになった。



共に朝を迎える──

互いの黒いコートは近くに転がっている。



……思い返せば、今更ながら顔が熱くなった。



「やっちまった……」


これから一緒に過ごすことは叶わないのに。そう思うとそれは罪悪感。

だけど同時に────妙な高揚。


──いや、よく考えればキスはしたな。


思考が色んなところへ飛んでいくが、不意にそんなことを思い出す。



研究所でハートレスだった彼女からは戯れに

機関でノーバディだった彼女からは別れの挨拶に


じゃあこの流れは正当か?とか、色々自己問答するが所詮言い訳で答えなど出ない。



ただ分かるのは──これは彼女のためにならないということ。




「なに、面白い顔してんの」
「……お前いつから起きてた」
「ちょっと前」

相変わらず喰えない女だと思う。

「起きてるなら言えってハナシ」
「何考えてたの」
「何でもねぇよ、任務のことだ」

むくりと起き上がる。
勿論その下には何も身に付けていないのだから、毛布で隠すなり配慮が欲しいがそんなものはない。

「そうだ任務行かないと──あ、そうか違うんだ……」

少し寝惚けているらしい。唸る姿は面白い。

「お前も任務行くか?」
「やだよ、ソラ達に迷惑かけるなんて」

分かり切った答えに笑う。

「お姫様は大人しく誘拐されているんだな」
「うわ〜腹立つー」


このやり取りすら……懐かしい。


いつ、最後になるかも分からないが──。



「名無しさん」
「ん?」

眠そうにしかめっ面でムードもへったくれもない。


それでも──そこすら愛しく感じられるのは、病気。


短く触れるだけの唇

昨夜を考えれば大したことではないが、それでも今までの関係上ではこそばゆかった。




END.






やっとくっつきました。よくよく考えれば長かった…!

一緒にはいられないのが目に見えているからお互い複雑なんですがね

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