離れても共に

□ヒロイン
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また何処かへ逃げたことに気付き、近場を探すと──金属がぶつかる大きな音ですぐに特定


到着する頃には既に静まり返っていた。




「おい!」


だがよくよく見れば、ノーバディが一体……襲われているのかと足早に駆け寄るが


「──あ、シグバール」


どうやら違うらしい。何なら頭を撫でている。


「お前……何やってんだ」


しかもその対象が自身の配下なので、少々複雑な気分になった。


「いや〜大抵襲ってくるんだけど、このスナイパーは私って気付いたみたいでさー!」

いい子いい子と。
スナイパー自身も体を揺らす。

「上司の教育がいいのかしらね」

ふざけて言っているのだろうが、溜め息がでた。

「ま、そんな訳ないか」
「あのなぁ……いいから戻るぞ」
「んで、なんだっけ」
「人の話を聞けってハナシ」

こちらを向かずにスナイパーの方を見て、何やら唸る。

彼女の性格は知っている。諦めて様子を見守ることにした。

「雪かぁ」
「──雪?」
「そそ、見たことないって言うからさ」
「そいつらは話せないだろ。何で分かるんだ」
「なんとなく?」

あながち間違っていないようで、変わらず体を揺らしているスナイパー

どこでそんな技術を身につけたか気になるところだが──


「雪、雪……」


こいつが何を考えているかを悟った。


「おい、ここで変なことするなよ」
「別に変じゃないでしょ、魔法くらい」

やる気満々の姿勢にまた溜め息。


本当に──昔から変わらない。


呪文を唱えて

「ウォタガとブリザガかな、強すぎるかな。あとエアロ……」
「加減間違えて俺等に飛ばすなよ」
「オッケーオッケー」





雪なんて難しくて


だけど氷の欠片はキラキラと輝いて舞って──


つい……つられて見上げた。



「ちょっと違うけど許してね」



嬉しそうに手を広げて、配下とくるくる回る姿は幼い。


それでも、とても──



「綺麗だね」




その笑顔が綺麗だと思った。











「またね」

消える配下に手を振って、残った二人で道を歩く。


「でも寒い」
「当たり前だろ」

しかも残った氷のせいか、ふとした拍子につまずいて転びかける。

咄嗟にその手をとると、楽しそうに笑った。

「ありがとう」


──こっちの気にもなれってんだ。


「少しは人質らしくしてろ」
「一応大人しくしてるでしょ」
「どこかだ」


本当に楽しそうに笑いやがって

こんな状況なのに、何も変わっていなくて──


「いっそブリザドで滑って帰ろうかな」
「バカやめろ」


──無駄と分かりながらも、今が少しでも続くことを願った。



「名無しさん、戻るぞ」


その小さな手を強く握り締めた。




END.






色々詰め込みました
昔の主(?)を覚えてるスナイパーとか(笑)

ちょっと古いですが、タイトルの曲を聞いてめっさイメージ沸いて書きなぐりました

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