離れても共に
□支え
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きっと誰も知らない場所
いや……知っているかもしれないが、寄り付かない場所。
寒くて暗くて、誰かが来ないと冬の寒空の下では凍えてしまう……
「またこんな所にいたのか。アイスでも喰われたか?」
誰かが……見つけてくれれば、それは帰り道となる。
夕闇の中で現れた黒い影を見て、立ち上がった。
白衣についた汚れをぱんぱんと払い落とす。
コツリコツリと近づいてきた音に……面をあげれば、見知った顔がそこには立っていた。
「ここにいれば、いつか逢えると思った」
身長差を補うように視線を重ねて
そして──どちらかともなく、抱き締める。
強く強く……その体温を噛み締める。
「愛してる」
その言葉に、涙が溢れそうになるのを堪えて──体を離した。
「行くの?」
「ああ」
「シグバール──あ、いや今はブライグ?本当の名前分かんなくなってきたけど」
その核心をつく言葉には、何も返せない。
「待ってる」
「は?バカ野郎。さっさとゼクシオンとか適当なやつとくっついとけ」
「イェンツォに失礼な」
ああ、ダメだ
やはり、愛しくて
その心を──欲してしまう。
離れたくない。
「名無しさん」
「ん?」
キーブレードを、構えた。