離れても共に

□2.14
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「ブライグ〜これ食べたい!」

指された雑誌の箇所は、見るだけで胸焼けしそうなほど甘い物ばかり

「……そうか。一人で行ってこい」
「なんでさー!一緒に行こうよ!」

可愛く服を引っ張られてもこればかりは頷けない

「あ〜仕事だ」
「絶対嘘でしょ」


まぁ嘘ではないが


──結局イェンツォと行ったらしく、後でしまったと思った。




だけどその夜……


「はい」

何やら包みを渡される。

「なんだよ」

多少不機嫌に受けとるのは大人げないかもしれない。

「チョコ」
「──は?」
「甘すぎたらごめん。お店だともっといいのあったんだけど」

カレンダーを見て、今日が2月14日だと気付いた。


──忘れていた。


「……イェンツォの奴と行ったんだろ」
「そうそう、カップル割引があるからって誘われてね」

よく知ってるよね〜と感心しているが、絶対確信犯だろう。


後悔しても時既に遅い

が──機嫌が直っている自分にも気付く。


貰った包みをその場で開けて、口へ一つ運ぶ。

「甘い?」

それと同時に手に取ったもう一つは目の前の口へ。

「まぁまぁだな」

嬉しそうに頬張る姿が──可愛らしい。


「次は付き合ってやるよ」
「来年?」
「来月だな。考えとけ」



──そんな研究所のとある日々。
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