離れても共に
□継承
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「スペアはある」
そう言ったゼムナスに嫌な予感しかなかった──。
「シオン──今なら思い出せる、14番目か」
更なる裏切りの存在
だが当人達はあまり気にしていないようだった。
何より──こちらの立場が悪い。
「そろそろ、出番とさせていただこう……姫君」
覚悟はしていたが、せめてもの抗いにキーブレードを示す。
だがそこで動いたのは──アンセム
「考えがある」
「なに──?」
かざされる手は……闇を司る。
「しばらく眠っていろ──よい夢を」
意識が闇へと落ちた。
その間の記憶はない。
後程、友人達から聞いた話──
「名無しさん!目を覚ませ!」
虚ろな目は何も捉えず
言われるがまま……光の守護者達へ襲い掛かる。
繰り返させる戦いで体力気力ともに限界も近く──。
「名無しさん!」
友人達の声が……何度か聞こえた。
何故だろうと気にも止めず、意識は宙の中で浮いていた。
『しゃんとしろってハナシ』
──はっとした。
何故かキーブレードをぶつけ合っていて、目の前には友人の顔があった。
「ソラ──?」
「名無しさん!良かった!」
互いに構えをといて、無事と再会を喜ぶ。
それも束の間で──彼等は次の戦いへと赴いた。
消そうと思えば、出来たはず
再起の叶わない強い闇を植え付けようと思えば、出来たはず
心と体を引き裂こうと思えば、出来たはず……。
衝突は止まらない。
彼等の敗北もまた──必然だった。
残る戦いの前に……感じた心に、心を研ぎ澄ませる。
「どうして、結局……こんな」
さぁ、どうしてだろうな
ただ──その気が起きなかった
「私は……」
裏切りなどどうでもいい
孤独でしかない
それでも────
『お前の行く末を見守ろう』
『君といる時間は孤独ではなかった』
「消えるの……?」
さぁ
どうであろう
「私は──二人を受け止めたい」
闇へ溶けるか
行方の知らぬ心だが
それさえも──引き受けよう。
……彼女が胸を抱えていた意味を知る者はいないだろう。
END.
ちょいと前に書いたネタでした
今後本編で再燃しそうな部分で危なくもありますが…取りあえずあの二人消えないで―!のお話でした
姫さんの中でせめぎ合ってそう(笑)