離れても共に

□継承
1ページ/1ページ

「スペアはある」

そう言ったゼムナスに嫌な予感しかなかった──。








「シオン──今なら思い出せる、14番目か」

更なる裏切りの存在

だが当人達はあまり気にしていないようだった。


何より──こちらの立場が悪い。


「そろそろ、出番とさせていただこう……姫君」

覚悟はしていたが、せめてもの抗いにキーブレードを示す。

だがそこで動いたのは──アンセム

「考えがある」
「なに──?」

かざされる手は……闇を司る。



「しばらく眠っていろ──よい夢を」



意識が闇へと落ちた。








その間の記憶はない。

後程、友人達から聞いた話──


「名無しさん!目を覚ませ!」


虚ろな目は何も捉えず

言われるがまま……光の守護者達へ襲い掛かる。

繰り返させる戦いで体力気力ともに限界も近く──。


「名無しさん!」



友人達の声が……何度か聞こえた。

何故だろうと気にも止めず、意識は宙の中で浮いていた。




『しゃんとしろってハナシ』




──はっとした。


何故かキーブレードをぶつけ合っていて、目の前には友人の顔があった。

「ソラ──?」
「名無しさん!良かった!」

互いに構えをといて、無事と再会を喜ぶ。

それも束の間で──彼等は次の戦いへと赴いた。













消そうと思えば、出来たはず

再起の叶わない強い闇を植え付けようと思えば、出来たはず

心と体を引き裂こうと思えば、出来たはず……。



衝突は止まらない。

彼等の敗北もまた──必然だった。






残る戦いの前に……感じた心に、心を研ぎ澄ませる。


「どうして、結局……こんな」


さぁ、どうしてだろうな

ただ──その気が起きなかった


「私は……」


裏切りなどどうでもいい

孤独でしかない



それでも────



『お前の行く末を見守ろう』

『君といる時間は孤独ではなかった』




「消えるの……?」

さぁ

どうであろう




「私は──二人を受け止めたい」



闇へ溶けるか

行方の知らぬ心だが


それさえも──引き受けよう。





……彼女が胸を抱えていた意味を知る者はいないだろう。




END.





ちょいと前に書いたネタでした
今後本編で再燃しそうな部分で危なくもありますが…取りあえずあの二人消えないで―!のお話でした

姫さんの中でせめぎ合ってそう(笑)

次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ