離れても共に
□覚醒
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「そう……名無しさんの行方も分かっていないのですね……」
戻ったアクアとヴェントゥスに現状を伝えるも、友の二人は未だに消息を掴めていないことに肩を落とした
「うん……君達と同じ時期から行方が分からないんだけど、何があったか分かるかい?」
「共にゼアノートと戦い、そこから離れ離れになって以降は──」
ミッキーと会話を続ける様子を眺めるソラ
自分の友人と同じ名前で、なのに違う人物がいることにまた実感を持てなかった
するとそこへ──着信音
「誰だろう?」
慣れない手つきでボタン押すソラ
画面に映ったのは丁度……その彼女だった
『今、大丈夫?』
「名無しさんか!ああ、だいじょ──」
「名無しさん!?」
慌てた様子でこちらへ駆け寄ってくるアクア
隣からモバイルを覗きこもうとしていた
「わぁ!」
『どうかした?』
画面の向こうの彼女には何が起きたかが伝わりにくい。恐らくソラの驚いている顔だけしか見えていないのだろう
それでも──アクアは続けた。
「名無しさんはどこに!」
「落ち着いて、アクア。君が知っている彼女じゃないよ」
ミッキーが諭すように伝える
「え──?」
「同じ名前だけど、全く違う人物だよ。僕も最初は驚いたけど、彼女は少し前まで機関にいた、賢者アンセムのもとの研究員だ」
すると狼狽えるが、少し落ち着きを取り戻した様子で言葉を発した
「そう……なのですね」
『もしかして、アクアとヴェントゥスが戻ったの?』
モバイルから聞こえてくる声
ソラは画面を自分以外の風景も見えるように、やや距離をとった
「そうなんだよ!」
『やったね! あ、じゃあ、はじめまして』
名前を呼ばれた二人はモバイルの画面へ近づいた。
友と同じ名前なのに違う声と顔に……やはり違和感は隠せなかった
『話は聞いています。私はずっと闇と共に歩いてきました。今はこちら側にいますが、貴方がたの探している人とは違っていて申し訳ない』
「いえ……こちらこそ、取り乱して申し訳ない。きっと貴方も私達を助けてくれたのですね、ありがとうございました」
俺も見たいとヴェントゥスも顔を覗きこむので、モバイルの前は人が溢れていた。
それを見て困るソラに、笑う名無しさん
『賑やかになって良かった』
「それで、名無しさんはどうしたんだ?」
『ああ、そうそう。相談があって』
相談?と首を傾げる
『イェン・シッド様と王様にもご相談が』
呼ばれた小さな王も顔を出そうと、人口密度の高い場所へと近づいた
「僕もいるよ。どうしたんだい?」
ひょこりと映る大きな耳が面白くて一瞬笑みを浮かべるも、すぐに真剣な表情へと戻った。
『これを』
しゃん──と、聞き慣れた音
「え!?」
「それは──!」
光と共に現れたそれは、彼女の腕に握られていた。
──研究所に突如現れたハートレス
『何故こんな所まで……』
襲い掛かるそれ等から仲間を守るために立ち塞がり
『イェンツォ!』
構えたその手に現れたのは──
「キーブレード!?」
黒く光る質感は闇をも連想させるが、それとは確実に違う面持ち
『突然使えるようになって、しかもこのキーブレードは──』
身を乗り出すのはアクア
「名無しさんの使っていたキーブレード……!」
皆が一斉に、えっと声を出す
それは持ち主の彼女も例外ではなかった
『遠い記憶で、私はこのキーブレードの使い手と一度会ったことがありますが──まさか』
「間違いない……私達の友、名無しさんが使っていたものです」
全ては繋がっているのか、と──
『使えるようになったことも驚きですが、この元の持ち主が行方不明のキーブレード使いとは……』
すぐにそちらへ向かうと残し、回線は切られた。