離れても共に

□暗雲
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そしてキーブレードを元の持ち主へ返した今、再び裏方へ回る。


研究を続け──





────そんな時。




「今度はダスク……!」


賢者アンセムがこちら側へ帰ってきてから、確実に狙われる機会は増えていた。

当然と言えば当然であろうが──厄介。


勿論門番の二人は強いし、ある程度の力は残っている。

だが……あちら側にいた頃と比べると確実に弱い。


しかも、今は一人。


「ここを──荒らさせる訳にはいかない」



守りたい人達がいるから


もう二度と──離れないように。




そう思い、構えた。


すると……右手に溢れる光。


「なっ──」



キーブレード


それは少し前まで手にしていたものと形が違う。確実に見たことのない形態。


自分で驚く

「どうして……」

驚きながらも、敵へ向かっていった。











「さすがはナナシ──相も変わらず、素晴らしい」



闇の気配が消えたと思ったら、今度は一層強い気配が後ろから

だけどそれは……振り返らずとも分かった。


聞き慣れた声、だから。



「ゼムナス──」


まだ襲ってくる様子はない

それでも油断はせず、ゆっくりと振り向いた。


「闇の研究者として優れ、今度は光の勇者か──実に興味深い」
「ご託はいい、何の用だ」
「久しぶりだと言うのに、随分な言われようだ」
「機関にいた私はこんなもんだっただろう」

ニヤリと口角があがった

「そうであったな。では、用件を伝えよう」




手を差し出される



「器として、君を招こう──共に来てもらおう」


慣れないキーブレードを向ける

「ふざけるな」
「君のハートレスもノーバディも驚異的な存在であった──当然であろう」
「断る。友のために、仲間のために……もうそちら側へは行かないと決めている」


しばしのにらみ合い──

だがそれも、けたたましい足音で頓挫する。


はっとするも既に遅く、ゼムナスの手はあがっていた。



「名無しさん! 何の音ですか! もしやまたハートレスが──!?」

現れたのはイェンツォと賢者アンセム……そして、そこへ武器を向けるゼムナス


「こちらこそ、貴重な資料を奪われたことに目をつむっているのだよ──さぁ、ナナシ」



選びなさい、と──。



……キーブレードを消した。


「これは一体何が……!」
「いかん、名無しさん!」

察した賢者が叫ぶが、その時彼女はもう一歩前へ出ていた。

「甘受しよう。ただし、他のメンバーに手を出すな」
「今日のところは、引き下がろう」
「ふざけやがって」



開く闇の口──

異変を察知した他の者も集まってきたが、制する。


「いけません!なぜ貴女が!」
「こいつが出向いた段階で向こうも本気だ。誰も犠牲は出させない──大丈夫、易々と器にならないから!」


闇にのまれる間際に笑顔でウインク……そんな様子をみると、やはりノーバディともハートレスとも違い、生身の人の言動だなと感じる。

そうだとしても──残された側にとって不安要素でしかなかった。

イェンツォは急いでソラ達へ連絡するため、モバイルを手に取った。




END.




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