離れても共に
□2.14
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「バレンタイン?そんなもの必要ないだろう」
「えー!」
「いやいやナナシ!日頃の感謝をだなぁ!」
「お前達に世話になった覚えはない」
若い男性陣から追っかけられて、逃げているのを目撃
でもラクシーヌとは楽しそうにお菓子を摘まんでいる所を発見
「ん〜やっぱり並んだかいあったわ〜!」
「そうだな。余った板チョコはどうするんだ?」
「誰か食べるでしょ。それかアンタ誰かにあげたら?」
「板チョコをそのまま?」
「そうそう!笑えるわよ!」
──ろくでもはない話しか聞こえてこなかったので早々に退散した。
だけど夜になって……妙な匂い。
他の連中もそのうち嗅ぎ付けてくるだろうが、居合わせたのは自分だけ
「こんな時間に何してんだってハナシ」
「ああ、シグバールか」
甘ったれた匂いは彼女の近くから。
「ラクシーヌがチョコを買い込んだはいいものの飽きてしまってな。せっかくだから何か作ろうと」
「男どもにか?」
「まさか。ラクシーヌにだ」
「仲が良いこった」
甘い甘い、匂い。
「丁度いい、味見を頼む」
「は?」
有無を言う前に……鮮やかな色の装飾がついた塊が口の前に。
勿論断る訳にはいかず──
「……まぁまぁだな」
「そうか。食べられるなら良しとしよう」
「あーーーー!!なんでシグバールに、あーんしてんの!!ずるい〜!!」
現れた若い連中の声で、後はお祭り騒ぎ。
「ナナシ〜俺の分はー!?」
「ない」
「なんで!?」
──そんな機関のとある日々。